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6月30日 薄群青

6月30日

薄群青

うすぐんじょう

#5383C3


R:83 G:131 B:195

6月30日 薄群青

*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*


私は、明け方の薄暗い東の空が、時間と共に白んでいく様をじっと見ていた。

どうにかして、あの青を自分の手で表現したい。

そう望んでから、随分と時間が過ぎた。


北欧の山と湖が作り出す風景の青。

それに勝るとも劣らない私の国の青。

私は、それを表現するために、長年かかって高価な群青の岩絵の具を集めてきたのだ。


青は1つの色ではない。

数限りない青があって、だからこそ、青が群れると書いて群青なのだろう。

いよいよ時が来たのだ。

私は、画室に戻って準備を始めた。

粗い粒子の濃い群青から、粒子が細かくなるにつれて僅かずつ薄くなっていくそのグラデーションを丹念に確認していく。


膠の溶ける臭いがして、私は一呼吸置いた。


考えてみれば変な話だ。

高価な群青をわざわざ手を掛けて更に細かくすることで、青を失わせていく。

薄群青は、群青よりも手間がかかるのだ。実は、薄い青の方が贅沢な色なのだ。


私は、明け方の空の青を絹地の上に写し取るべく、筆を執った。

挿絵(By みてみん)

写真は、群青色の夜空に浮かぶライトアップされた桜の木。


青の画家、と表現される画家は何人もいますが、青に魅了される画家がそれだけ多いのかもしれません。

東山魁夷画伯の青は、日本人の郷愁を誘う色だと思いますが、かの画家が青を意識したのは、北欧の風景を見てからだという話を何かで聞きました。

意外と、そんなものなのかもしれません。


本文の画家は、架空の画家ですよ!

毎回のことですが……。

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