4月27日 エメラルドグリーン
4月27日
エメラルドグリーン
Emerald Green
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4月27日 エメラルドグリーン
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ここ数日の間は、魔物とも遭遇することなく、かなり平穏な旅であった。
そして俺も、緋色の髪の女剣士も、銀髪の僧侶も、宿屋で思い思いの休息を取っていた。
少しばかり退屈していたのかもしれない。
俺は1階に降りて、食堂で朝食を摂りながら、その後の予定を考えていた。
日程的には余裕がある。
なにせ、心配していたのとは違って、道中、魔物とも盗賊とも出くわさなかったのだ。
予想外にスムーズに移動できてしまったために、その日考えていた宿場町よりも1つか2つ先の町に宿泊すること数日、このままだと、目的地には5日ばかり早く到着となるかもしれない。
早過ぎるのもなぁ。
俺は、最初っからあまり気乗りがしない要件が待っていることを思うと、躊躇してしまう。
「ここ、いい?」
ふと気付くと、緋色の髪の女剣士がテーブルに相席を求めてきていた。
「あぁ。結構美味いぞ、ここの朝食。」
そう答えると、女剣士は、そのエメラルドグリーンの瞳を輝かせて、朝食を2人前注文した。
健啖家なのだ。しかし、そのスタイルは驚くほど良い。いったい、食べたものは何処に消えるのだろうか?
俺のくだらない思考にはまったく気付いていない様子で、運ばれてきた朝食を、およそ剣士とは思えない優雅さでもって、しかし確実に口に投入していった。その様は、何度、眺めていても驚嘆する。
エメラルドグリーンは益々輝きを増したのだった。
「美味しい! すみませ~ん、これもう1人前貰えますかぁ~。」
周囲の騒めく連中には、目もくれず、そう追加注文をする女剣士の様子に、俺は溜息をついた。
まだ、食うんかい。食費分、どっかで稼がねぇとなぁ。
写真はエメラルドのルース(裸石)。
赤髪緑目というのは、ケルト系民族の特徴だったらしく、転じて魔法使いを示すステレオタイプ的な色の組み合わせとしてファンタジー小説に残っているのだそうだ。
え?
本文中の赤髪緑目ちゃんは、大飯喰らいの女剣士ですね。
それが、どうかしましたか?(震え声)