prologue
皆さん始めまして。
私の名前はアイ。
この物語に手を掛けていただき、ありがとうございます。
私はこれから起こることが一つの物語であることを認知し、それを開こうとするあなたを見つけ、こうしてお声をかけさせて頂きました。
ここで一つ、持論を聞いていただけませんか?
論としてはまだまだ拙いものですが、それはこの物語という名の世界を制約する要素の一つですので、聞いておいた方がいいと思います。
では、お話しますね。
白と黒。直線と曲線。昼と夜。光と闇。
この世界は、それぞれ相反した物質や事象がバランスをとることにより成り立っています。作用反作用の法則なんか例に挙げてみれば、すぐにわかりますよね。
そこであなたに問います。
そんな相対した二つの間には、一体何があるのでしょうか?真逆の性質を持つ二つの間に存在するものは何でしょうか。
私はこう思いました。
「真逆の二の間には、無限がある」、と。
、、、あぁ、あなたを引き止めておいて、こんな難しい話をしてごめんなさい。でも大事なことなので最後までお付き合い頂けると幸いです。では続けますね。
例えば、正解を表す〇と不正解を表す×。その間には、△という名の「無限の解釈」が広がっています。正解でも不正解でもない、人によっては〇にも×にもなってしまうような。そんな△を我々は一つ選び拾い上げて持ち歩いているのです。それが人間というものです。
このお話は、「天使」と「悪魔」、そしてその他が紡ぐ、「無限」のお話。そんな、〇にも×にもなり得てなり得ないような無限が、出会い、ぶつかって、別れ。また出会っては今度は混ざりあって、溶け合う、そして________
そんな話です。
では私はこれにて失礼します。
長話に付き合わせていただき、本当に申し訳ありません。
心ゆくまで、私のお話をお楽しみください。
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私の名前は、「昼月 瞹」。
私は今、この洋風の、本に満ち溢れた、木漏れ日の暖かい部屋が世界の全てではないことを理解し、そして、同時にただのハリボテではないと理解したこの扉に手をかけ、その外に出ようとしている。
私は、紛うことなき、この物語の、「主人公」だ。