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マシュマロ

わたしはネコを飼っています。

真っ白でフワフワなので“マシュマロ”と名付けました。

ある晴れた日曜日。わたしは飼っているネコにマシュマロをあげました。

ネコはすごく嬉しそうな顔で、“美味しい、美味しい”と言ってくれました。

わたしも何だか嬉しくなって、もっとマシュマロをあげました。

ネコは咽喉をならして、“美味しい、美味しい”と言ってくれました。

“もっと欲しい、もっと食べたい”とねだるので、仕方なくわたしの分もあげました。

お腹がいっぱいになったネコは、すやすやと眠りに付きました。

わたしは、マシュマロを電子レンジに放り込みました。

それは、どんどん、どんどん膨らんでいきます。

でも、加熱し過ぎてネトネトのかたまりになってしまったので、ゴミバケツに捨てました。


飼っていたネコがいなくなったので、わたしはイヌを飼い始めました。

茶色で胴長だったのですが、やっぱり“マシュマロ”と名付けました。

ある曇った月曜日。わたしは飼っているイヌにマシュマロをあげました。

イヌはすごく迷惑そうな顔で、“甘い、甘い”と言いました。

わたしは何だかガッカリして、今度はソーセージをあげました。

イヌはしっぽを振って、“美味しい、美味しい”と言ってくれました。

“もっと欲しい、もっと食べたい”とねだるので、仕方なくわたしの分もあげました。

お腹がいっぱいになったイヌは、すやすやと眠りに付きました。

台所にはパンとトマトケチャップとマスタードがあります。

私の期待は、どんどん、どんどん膨らんでいきます。

あと足りないのは、ソーセージだけです。


飼っていたイヌがいなくなったので、わたしはニワトリを飼い始めました。

真っ赤なトサカだったのですが、やっぱり“マシュマロ”と名付けました。

ある風の強い火曜日。わたしは飼っているニワトリにソーセージをあげました。

ニワトリはすごく怒った顔で、“辛い、辛い”と言いました。

わたしは何だかイライラして、今度はスクランブルエッグをあげました。

ニワトリは高く鳴くと、“美味しい、美味しい”と言ってくれました。

“もっと欲しい、もっと食べたい”とねだるので、仕方なくわたしの分もあげました。

お腹がいっぱいになったニワトリは、すやすやと眠りに付きました。

次の日の朝、目覚まし時計がひどく喧しく鳴り響きました。

わたしの耳元で、リンリン、リンリン鳴り続けています。

仕方なく、私は時計を掴んで壁に向かって投げつけました。


飼っていたニワトリがいなくなったので、わたしは子ブタを飼い始めました。

可愛らしいピンク色でしたが、やっぱり“マシュマロ”と名付けました。

ある大雨の水曜日。わたしは飼っている子ブタにスクランブルエッグをあげました。

子ブタはすごく泣きそうな顔で、“しょっぱい、しょっぱい”と言いました。

わたしは何だか悲しくなって、今度はスパゲッティーをあげました。

子ブタは鼻を鳴らしながら、“美味しい、美味しい”と言ってくれました。

“もっと欲しい、もっと食べたい”とねだるので、仕方なくわたしの分もあげました。

お腹がいっぱいになった子ブタは、すやすやと眠りに付きました。

日が暮れる頃になると、網戸の隙間から蚊が入ってきました。

わたしの周りを、ブンブン、ブンブン飛んでいます。

私は蚊取り線香に火をつけると、蚊遣り豚の口の中に、そっと忍ばせることにしました。


飼っていた子ブタがいなくなったので、わたしはカバを飼い始めました。

灰色でゴツゴツでしたが、やっぱり“マシュマロ”と名付けました。

ある落雷の木曜日。わたしは飼っているカバにスパゲッティーをあげました。

カバはしかめた顔で、“すっぱい、すっぱい”と言いました。

わたしは何だか可笑しくなって、今度はカボチャをあげました。

カバは大きな口を開けながら、“美味しい、美味しい”と言ってくれました。

“もっと欲しい、もっと食べたい”とねだるので、仕方なくわたしの分もあげました。

お腹がいっぱいになったカバは、すやすやと眠りに付きました。

ハロウィンの日に、わたしの家で仮装パーティーを開きました。

たくさんのお客さんが、ジャンジャン、ジャンジャンやって来ます。

その中に泥棒が紛れ込んでいたようで、私の大切なカバンが盗まれてしまいました。


飼っていたカバがいなくなったので、わたしはキリンを飼い始めました。

黄色に茶色の水玉模様でしたが、やっぱり“マシュマロ”と名付けました。

ある大嵐の金曜日。わたしは飼っているキリンにカボチャをあげました。

キリンは退屈そうな顔で、“苦い、苦い”と言いました。

わたしは何だかつまらなくなって、今度はビールをあげました。

キリンは長い首を伸ばしながら、“美味しい、美味しい”と言ってくれました。

“もっと欲しい、もっと飲みたい”とねだるので、仕方なくわたしの分もあげました。

お腹がいっぱいになったキリンは、酔って眠りに付きました。

屋根の上のアンテナに、洗濯物が引っ掛かったみたいです。

映りが悪くなったテレビを、バンバン、バンバン叩いてみます。

梯子に登って屋根に上がる途中、酔っ払って真っ逆さまに落ちてしまいました。


足を骨折してしまったわたしは、病院のベッドの上です。

ある何でもない土曜日。わたしは病院を退院しました。

わたしが家へと帰る途中、道端で一匹のネコと出会いました。

飼っていたキリンがいなくなったので、わたしはネコを飼うことにしました。

真っ白でフワフワなので“マシュマロ”と名付けました。

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