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夜の闇をよぎる怪鳥の影のように・・・

   『青い鴉』のまえがきに代えて    柴 由良 


 日本にも大勢、短編の名手と呼ばれる作家がいますが、私個人としてはこれまで、外国人作家の手による短編集をより好んで読む傾向がありました。日本とは異なる風土に根ざしたそれらの物語の多くは、怪奇と幻想、恐怖と残酷、謎や意外性・・・そういった要素によって構成され、それらが作品の中に余すことなく盛り込まれております。そして、それらを読み始めた瞬間、何事にも囚われる事のなくなった私の想像力は、普段過ごしている日常の規律からも解放されると、偉大なる作家達が生み出した空想の世界を探検し始めるのです。

 しかし、外国人作家の作品を実際に原文で読める読者というのは大勢いるわけではなく――かくいう私もその一人なのですが――その多くは様々な翻訳者の方の手を通じて紹介されています。ところが、多くの読者がその恩恵に預かっているにも拘らず、作品によっては“本来の世界観を損なっている”という事で著しく評価を落としているものが存在しているのは、非常に残念な話ではありますが、見逃す事の出来ない事実でもあります。

 小説というのが作者自身の手によって、単に言葉のみで紡ぎあげられた世界観によるものである以上、原文至上主義を掲げるのは至って自然な行為だと思います。しかしその一方で、私としてはこの“日本語に翻訳しなければならない”という一手間が、時として良質な作品を自動的に判別してくれるフィルターの役割を果たしているとも思えるのです。一時的な流行を追っただけの“売れる作品”というのに、私は全く興味がないからです。

 もちろん、作家というのが職業の一つの形態である事を考えると、本来はお金を稼ぐのが目的であり、その行為を非難する事は間違っていると言えるでしょう。また、そういった中にも真に興味深い良質な作品として後世に受け継がれていくものが数多く含まれているのも事実です。反対に、幾ら素晴らしいと呼べる作品でも、誰も手に取らないままに埃を被っているような状態であれば、この世から消えてしまうだけですし、いつの間にか忘れ去られてしまう事でしょう。


 さてここに、我が友人であり変人でもある“稲葉ほうき”という作家が拵えた二十と一の短編を掲載します。これらの作品の全ては彼の頭の中をよぎった幻想の残滓のようなものであり、この世に生み出される無数の作品と同じく、時を経ずしてこの世から消えてしまう運命にあるものばかりです。

それでもなお、これらの作品が少しでも多くの方々の目に触れるよう、今回このような場にて公開する事を説得し、了解を取る事が出来ました。我が友人の生み出した空想の世界に少しばかり足を踏み入れて頂き、しばしの間この奇妙なる世界をお楽しみ下さいますよう、皆様にお願いいたします。また、万が一にも興味を持っていただける方がおられましたら、一言声を掛けてやってくだされば、本人も大変喜ぶと思います。

 それではまた、何処かでお会い出来るその日まで・・・・・・。

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