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破壊の魔王  作者: Karionette
外界編 第七章 ルナティクス
74/354

01




「うわあ!」



歓声をあげたのはガキ。



「うわあ…」



嘆いているのはヴァンパイア。今いるのは、ルナティクスの街全体を見渡せる丘の上。


俺の家の近くだ。



「すごい…木で作った家ばかりで…。水晶がキラキラしてる」


「うう…ほんとに来てしまった…戻ってきてしまった…」



街は大きくはない。家も少なく、畑やら花の方が目立つ。街のど真ん中には緩やかな河が通っているし、大都会とは真逆のつくりだ。


建物はすべて木造で、こいつが光っていると言っているのは全て魔石。銀の改造した特注品で、街の動力関係はすべてコレで補っている。

都会ではないが、ここほど発展した場所はない。



「…あんまり、街の人いないね」


「まぁ夜だしな。寝てるだろ」


「明日になったら、その…人間じゃないひとたちと会えるの?」


「あー…すぐには無理だろうな。銀が指示する」



人間ではない奴の街。つまりは人間が滅ぼしそこなった生き物の街だ。

クロのような奴は稀で、大抵は人間に少なくない恨みを持っている。いや恨みではないか。好ましくないって程度だろうな。

どっちにしろ、あまり不用心に放り出すわけにはいかないだろう。



「それで、今日はこのお家で寝るの?」


「俺は銀に用がある。お前らで勝手に使え。一応、俺の家だし」


「ルシファの家じゃと!?わ、妾いちばんのりーー!!」


「え?ちょ、ルナ!?わたしも行く!!」



いや、俺の家だからなんだよ。走り出すあいつらを追うと、背中に焼けるような視線を感じた。


俺に向けてじゃない。



「…ま。中には起きてるやつもいるよな」



気にするのをやめて二人を追った。


家の中は意外にも綺麗にされていて、埃だつようなことはなかった。銀が整備しておいたのだろう。別に俺に家なんかいらねぇのに。



「ゼロさん、すごい数の本だよ!」


「見よ、ルシファー!美しい音色たちだ!こんなに楽器があるとはな!」


「高そうなもの見つけたー!」


「すごい装飾品見つけたぞー!」



知ってるっつーの。俺の家だっつっただろ。



「好きに使っていいが加減しろよ。壊しても俺は直せねぇし。あと、ヴァンパイアはどうせ寝れねぇだろうから連れて行くぞ」


「え゛」


「わたし一人かー。クロちゃん一緒に遊ぼうね」


「うきゅ」



となると、何かあった時に守るやつがいねぇか。でもヴァンパイアは…銀にとっては、ある意味俺より重要度高いだろうしな。主に罰を与えるという意味で。


加えてヴァンパイアとガキの二人じゃ、ルナティクスに対しての知識面が不安でしかない。頭が空っぽのやつと世間知らずだ。最悪の組み合わせだといっていい。



「…つーことで頼めるか?」



俺は後ろに小刀(ヤマト所有物)を放った。さっきからずっと付いてきている、銀の懐刀とでも言おうか。俺にとっても付き合いの長い奴。


そして、俺が知る中で一番俺を殺せる可能性の高い奴だ。



「クガネ」



小刀を咥えて現れたのは小柄な男。ゆったりとしたラフな服装の少年だった。



「ぜろ!!!」



そいつはたどたどしい言葉で、金と赤の目を輝かせた。




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