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破壊の魔王  作者: Karionette
外界編 第四章 航海
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静かな船内は途端に騒がしくなり、足音と金属の音、時には悲鳴が混ざるカオスぶりだ。



「ワシの船がぁーーーー!」



と、熊も走ってどっかに行った。

俺はまだカラスの首を捻っている。


こいつらがここにくるとしたら情報収集か盗み。そんなことは猿でもわかる。そうじゃない気配がすると思ったらまさか魔物かよ。早く言えよ、この馬鹿ども。



「ゼロさん、死んじゃうって!そんなでも相棒だからさ!勘弁してくれって、うげだっっっ!!」


「うるせぇ。お前も同罪だ」



馬鹿な盗人の頭に踵を落とす。



「その宝がなんか知らねぇが返せばいいだろうが」


「いや。元の位置に戻すのはありだけど、返すのは無し」



めんどくせぇな。ほんと。

もう一度頭に足を落とした。



「へっへっへ。帝王、甘いな。オレ様たちは怪盗だ。船がどうなろうが逃げようと思えば簡単なんだよ。大変なのはお前たちの方。ほら、今なら戦力になってやるぜ?この魔物の力をな」



挙げ句の果てに鳥ごときがなんか宣う。黙って首をしめる力を強くしといた。


この鳥がそこまで戦力になるっていうなら、魔物同士仲良く殺しあってくれよ。


わざわざ船に逃げ込んだってことは体力の限界だったんだろうが、雑魚魔物。



「どうするの?ゼロさん」



ガキは船内の騒ぎと唸りをあげる海に不安になったらしく、クロを抱き締めたまま離そうとしない。


どうする、か。



「この船は多分だめだ。さっさとずらかる」


「え!熊さんはいいの?」


「知るか。あいつはあいつでどうにかするだろ」


「知るかじゃないよ!」



緑の目が精一杯の険しさを作って俺を睨む。怖がらせたいんだろうが、欠片もその要素がない。ほら、今も波の音にびびってる。



「……イース。俺は全快じゃないし、レイである以上は力も使えない。加えて武器も戻ってない。これでなんとかしろってか?」


「戦力はゼロさんだけじゃないよ」


「あ?」


「護衛。いっぱいいたでしょ?」


「あ"?あの雑魚どもになにができるんだよ」



真っ当なことを言ったつもりだが、ガキは嘗めてんのか、首を傾げる。



「やらないと、大変なのはゼロさんでしょ?」



……………。



「ね?」


「………あー」



まぁたしかに。


こいつ泳げねぇし、魔物は俺に惹かれてきたのもあるしな。魔物は魔力が高いとこに惹かれる性質があるし。


ってことは、夜の海に飛び出したところで追われるのは俺か。で、最悪なケースを考えるとこのカナヅチを海に沈めないといけなくなる。それで最悪死亡。



「……やるか」


「うん」



はー。くっそめんどい。




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