表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
破壊の魔王  作者: Karionette
外界編 第三章 ティナ
32/354

06




扉を開ける。


布団の中、よーし

机の下、よーし

引き出しの中、よーし

タンスの上、よーし


次。


扉を開ける。



「なかなか見つかんないなー」



宝探しは好きだ。


よくみんなとやって遊んでたし、割りと得意だったりもする。


ちなみに一番下手くそだったのがウラガで、たぶん全戦全敗だったかな。



「う、うわぁ」



ただ今回はいろいろと難しい。


まずはこの死体。

アラクネを倒して蜘蛛とか糸とかは消えたけど、アラクネが原因でおきた事態はそのままだ。家も壊れたままだし、もちろん死体も生き返ったりはしない。


ということで、ちょっと溶けてたり虫食いだらけの死体が多くて、はっきりいってグロい。探す気が失せるくらいにはグロい。


次にとんでもなく広い。

部屋も広かったり狭かったりするし、最後に戦った所のような地下室もあるみたいだ。なぜか天井にも通り道があるし、物を収める専用の部屋もある。全部探すとなると引っ越しの準備をするくらい頑張らねば。


最後に……



「なんなんだろ?報酬品って」



目標がわからない。形も内容も。

そんな宝探しあるかいっ!


と、嘆いたところでしょうがないし、ゼロさんに聞いても無駄だろうし、なによりあの人には休んでもらいたい。なんか平然としてたけど傷口から血が滲んでたし、魔力だって戻ってないに決まってる。弱ってるところを見せたくないのは、ウラガもそうだったからわかるけど、絶対に無理してる。

今だけは、とりあえず休んでもらいたい。



「よし」



あらかた探した部屋の扉を開ける。


窓でも玄関でもなく外に繋がる扉で、この先はなんか机とか椅子とかある小さな庭みたいなんだけど、隠せそうな場所は多いのだ。



「………ん?」



なんか、いる。


なんだ、こいつ。



「きゅふ?」



見たこともない生き物だ。


狐のような長い耳にふわふわの長いしっぽ。イタチみたいな顔の額には赤い石がはまってる。足はリスみたいに短い。四足歩行。


そして真っ黒。


見たことも聞いたこともない生き物は、つぶらな瞳でこちらを見上げ、じーっと眺めている。背中に小さな荷物を背負ってるみたいだ。


どうでもいいけど、めちゃくちゃかわいい。



「まさかあなたが報酬なの……?」



そっと手を伸ばす。

伸びた手をその子はふんふんと臭いをかぎ、


がつっ


噛みついた。



「~~~~~~~~~~~~~~っっっ‼‼」



声にならない叫びで喉が震える。


噛まれる可能性を考えなかったわけではないが、痛いものは痛い。というか、思ったよりも痛い。



「キシャーーー!!!!」



小動物特有の精一杯の威嚇。


尻尾をボンっと膨らませ、顔をしわくちゃにして牙を剥いている。よく見たら、ほんと牙鋭いね。



「なるほど、番犬がわりか」


「ギキュッ!?」



ここの主人は、この子に大切な報酬品を守らせたのだ。


狂暴ですばしっこく、見た目のかわいさで相手を油断させる。そんな狙いだったのだろう。



「でも、わたしは騙されないからね!」



わたしはアガドで生きてきた人間だ


人を倒すよりも小さな動物を追っかけ回す方が得意だ。むくむく小型リス狐イタチだって例外じゃない。



「まてー!」


「キシュウウーーー!!」



待ってて、ゼロさん!

必ず報酬は持って戻るからね!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ