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破壊の魔王  作者: Karionette
捜索編 第五章 王城へ
294/347

01




『ゼロさん。お疲れ様。黒島のこと、ほんとにありがとう。

声でバレるといけないから、スターに手紙持たせた。

察する通り、こっちはなかなか大変なことになってる。

僕も、怪盗稼業で長く開けてたからこんなことになってるとは思わなかったよ。

で、諸々の報告。


まず、僕が同行する前に、ゼロさんの知り合いの軍人さんたち。

びっくりするくらい優秀なんだね。

ボスっぽい人が権力振りかざして、軽い感じの人が法律だとか歴史だとか持ち出して。

なに、環境保護とか人権とか。国の人も知らない世界と国の法律とか持ち出してたよ。

ということで、今のところ毒を撃たれることはないと思う。

なによりそれをするには、重要人物の魔力が必要なみたいなんだけど

誰かさんが二人とも攫っちゃったらしいし、正直できないみたい。


でも戦争行為を止めることができなくて、僕が休戦について伝えたんだけど

何故か内部に届かないというか、話が届かない。

多忙とか不在とか、そんなかんじで。

国王が多忙?いや、あの人に限ってそれはないよ。引きこもりだし。

会えもしないなんておかしすぎる。


ということで原因とかを今は探り中。なるべく早く入り込む。

殺されているとか幽閉は考えられるけど、別の場所にいることはありえないから。


怪盗の腕前を見せる時だよ。


まとめると

そっちについては小競り合いはあるかもしれないけど、即死毒弾はない。

休戦の意思は実質伝えられてない。

王族とか国の運営している重要人物の所在・生死が不明


じゃ、頑張ってくるよ。

黒島の事ありがとう。』



煙草を吸いながら文面を読む。

うるさいカラスは早々に戻らせた。


めんどくせぇな。

内部に入り込んでるとは思ってたが支配されるレベルなのかよ。

国王もいないんじゃ、俺も脅しにいけねぇじゃねぇか。


そしてちょうど、ジジイに渡した通信機から連絡がきた。

魔力を隠す必要もないからそのままつなげる。



『やほ、ぜろ』


「ゾンビか。そっちは順調みたいだな」


『あれ。どうして知ってるの?まぁそのとおりなんだけど、1か月は毒は撃たせないって。そう言ってたよ』


「確約か?」


『うん。まず誘拐された誰かさんを助けるのと、犯人を見つけないといけないからって。隊長が人命について熱く語ってたよ』



その犯人ここにいるんだけどな。



『そこに軍を動かすことになるから、そっちは楽になると思うんだけど、どうしても政治に踏み込めないみたいでね。ボクたち、軍人だから、政府じゃないしね』


「王はいるのか」


『そこも知ってるの?そこらへんが怪しくて、隊長たちも重役に会えてないし、色々聞いてる限りだと姿を見てないみたいで』


「誰から聞いてるんだ」


『町の人とか兵士とか。ロジーでも会えないんじゃ相当だと思うよ。ロジ―なら王に会うだけなら即日でいけるよ』



あのチャラチャラした見た目には騙されるが、あの風使いは地位が高い。

地位というか、実績というか、資格というか。

なんでジジイの下にいるのか理解できないほどにだ。

あいつには頭があがらない奴は多いだろうし、なにより繋がりと知識量が多い。

多すぎて、無下に扱ったときにどうなるかがわからないってことだ。


ま。軍の考えることだ。

邪魔なそいつを俺に殺させるためかもしれない。



『ボクはすることないから、攫われた人を軍の人と一緒に探しに行くんだけど。ぜろ、どこ探してほしくない?』



どいつもこいつも軍人失格だな。



「宝探しと思ってやってみろよ。本気で見つけねぇと餓死するかもしれねぇぞ」


『ふーん。それも面白そうだね!やってみる、ありがとう。じゃね』



人命について熱く語った隊長の部下がコレか。面白そうはまずいだろ。

ま、死なない奴に命について理解しろと言えるはずもないだろうけど。


さて。盗人とジジイたちの話に齟齬もなし。

国は国でだいぶめんどくさいことになってると。

当面、毒は撃たれないらしいが戦争は止まらないと。

休戦についても伝えることすらできてないと。


あー。

じゃあ、俺はどうするかな。こっちにいるかもしれない裏切り者についてはもういないとわかってる。

話合いのとき、”アルテマ”の名前を出しても反応した奴はいなかった。

魔力にも体面的にも見えない。

もう引き上げたか、死んだか、隠れているか。そんなところだろう。



「うわ。なんだ。これが飛空艇か」


「勝手に入んな。鬼」


「龍は?」


「いったん戻ってる」



飛空艇に入ったのが初めてなのか。

鬼はあたりを見渡しながら入ってきた。




「何の用だ」


「あれだ。黒島にも裏切り者がいるって言ってたろ?思い出したことがあってさ」


「なんだ。殺しでもしたか?」


「おう。その通り。よくわかったな」



いや、冗談だったんだが。



「なんかオレのこと、狂ったように殺しに来てさ」


「は?」


「おまえの名前は?って聞いたら。あれ、たぶん何かで隠れてたんだと思う。全員そいつ知らねぇっていうし、間者かとか言ってたかな」


「見た目だいぶ違うだろ。ここのやつらは黒髪だし」


「んー。人間の見た目の違いなんてちいさすぎてなぁ」



……まぁ。確かに。



「で。どうなるんだよ。戦」


「なくなりはしねぇな」


「じゃ、準備だな」


「………」



ま、いいか。

休戦って言っといて殺しあうわけにはいかねぇしな。



「黒島の奴らに伝えろ。武器は、木刀のみってな」



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