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破壊の魔王  作者: Karionette
捜索編 第四章 ウラ ガレア
284/347

06



「それにしても、手前は変わらねぇなぁ」


「お前が変わりすぎだ。死体が歩いてるみたいだぞ」


「はっはっは。どれだけ剣を鍛えても、病には勝てねぇなぁ」



こいつに会ったのはそこまで昔の話じゃない。

戦争が始まる前にはなるが、その時は病気でもなかった。


黒島の剣士たちという、特殊な戦闘種族が気になって来てみたら、突如斬りかかってきたのがこいつだ。



「ほれ」



差し出された(さかづき)を受け取り、高い音をならす。

この島では縁側と呼ぶところで、月を見上げながら酒を飲んだ。


ん、黒島の酒は質がいい。



「そういえば、龍剣とやりあった」


「ほお?で、どうだったんだぁ?手前より強いかぁ?」


「五分」


「そうかぁ。国の奴らもやるもんだなぁ」


「いい腕なのは間違いねぇな」


「して、どうだった。勝ったか?」


「勝ち負けって話じゃねぇが、俺とは圧倒的に実践経験が違う。素振りしてる余裕のある奴らに負けはしねぇな」



そうかそうかと頷く。

様子を見る限り、1年ももちそうにないな。



「で。ここでは何があったんだ」


「何って、相変わらずだぞ?戦が起こって、戦してただけだぁ」



……はぁ。あいつも苦労するな。



「ま。俺は約束通りガキを届けたし、イリスの件も終わったし、あとはここのどこかにいるアルテマについて調べたら終わりだ。残りの兄弟については片手間に探しといてやる」


「おお。ありがとうなぁ」


「お前らは勝手に毒でも撃ち込まれて死んでろ」


「ぬ。毒?毒ってなんのことだぁ?」



知るか。めんどくせぇ。



「軽く聞いただけでもわかるほどの異常に、誰も気づかないとはな。この島の連中はただの能無し集団かよ」


「おい。島を馬鹿にするかぁ?死神」


「お前もそう思うよな」



誰も見えない空間に空の杯を投げる。

それは以前同様空中でとまり、殺していた息がやっと吹き返した。



「…ゼロさんにはかなわないなぁ。もう色々わかっちゃったのか」



僕は何も言っていないのに、と盗人は小声で呟く。

隣の死にかけは、口が開いたままのことにも気づいていないらしい。



「お久しぶりです。父上」



俯いたまま、盗人はそう言った。




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