04
俺はアルテマ関連の話をほぼ隠すことなく話した。
子供を攫う連中だということ、強さを求めていること、アビスシードのこと。
非人道的行為と言っていいことを、平気でやっていることを伝えた。
俺が言うのも何だがな。
「手前…黒島を殺す気かぁ?」
一通り話したら、死にぞこないはそう言った。
長くため息をつき、湯飲みのお茶を流し込む。
「……とは言っても。聞いたのは手前で、もはや死に体だしなぁ。それに、手前らのガキを連れてくとはいい度胸じゃねぇか」
「ま、残り1人だ。それで済ませるなら、それも悪くねぇと思うけどな」
「いいやぁ。たまたま、一人だっただけで、本来は4人だろぉ。しかも、それは結果、一族もろともになる話じゃねぇかぁ」
ガキたちの親は死んでる。だから、ガキが全員死ねば、その血は絶えるってことなんだろう。
その価値はよくわかんねぇが、そういうのがここでは大切ならしい。
「だが」
黒島の代表ともいえる、元英雄は目を光らせた。
「だからって国との戦もやめられねぇ。この土地は守らなきゃならねぇし、犠牲になった仲間を無駄死にさせることもできねぇ。
吸魔石かなんだか知らねぇが、島のモノはひとつもやらねぇ」
これだよ。
黒島の奴は譲らない。
もう力量として大したこともできない死にぞこないでコレだ。
血気盛んな他の奴らはもっとだろう。
めんどくせ。
場所にも死んだ奴らにも生きている奴らにも興味のない俺にはわからねぇ言い分だ。
「……ま。手間が黒島のボスなわけでもなんでもねぇし、今の手前は発言する権利すらねぇ。場所は設けてやる。若いやつらに言え」
「気が向いたらな」
「ガレア。手前も帰れ。死神のことはいい。ねぇちゃんと積る話もあるだろお?」
腕を組んだまま、そうだなーと笑うこいつは、なんでこの話をして嬉しそうなんだろうか。
戦闘狂にも程がある。
「今日は終いだ。後はゆっくり過ごさせい」
死にぞこないはそう言った。
やせ我慢も限界にきたらしい。
イリスたちが去った後、崩れ落ちるように倒れ込んだ。




