01
やっぱり二人はこうなった。
絶対戦うし、勝負はつかないし、引くに引けないことになるって。
声だけで聴いてくれると思わなかったから、手近にあった酒をばらまいてみたんだけど効いてよかった。
「お、おまえ。イーリスか!?」
ウラガだ。
時間もたって、いろんなことがあった。
ずっと探した。ずっと会いたかった。
ウラガは変わらない。
こんなに時間がたっても、一目ですぐにウラガだってわかった。
胸にこみあげるものがある。
ぐっと鼻が押しつぶされるようだ。
「久しぶり。ウラぁあぁあ!?」
「感動の再会のところ悪いな」
突如ゼロさんがわたしをひょいと担いだ。
あまりに急なことでウラガも拳を放ち、それをゼロさんは受け流した。
急なことに反応して殴らないでよ。ウラガ。
昔より威力がとんでもないことになってるじゃん。
「おい。イーリスをどうするつもりだ。てめぇ」
「目の色が変わったな。殺すつもりも傷つけるつもりもないが、国が動き出した。こいつを国の連中に見せたくない」
もう一度殴りに来るウラガだけど、何か起きる前に必死に止めた。
大丈夫。ゼロさんは味方だから!!
「……まぁ。イーリスを国に見せたくねぇのは同じだ。目立つし」
「だろ。どうせ後で話がある。こっちでも協力してやるから、戦を終わらせろ。夜中にそっちに行く」
「は!?何だよ、急に。意味が…」
「さっさとしろよ。それとも、こいつを戦場においていいのか?」
「なわけあるか」
「ならさっさとしろ」
ウラガの返事を待たず駆け抜けるゼロさん。
顔のすぐ横を銃弾が過ぎても、わたしも慣れたのか、恐怖も感じない。
憑依しているスターがギャーギャー言ってるけど。
敵の中に潜り込み、選んでいるのか、特定の誰かだけに攻撃して意識を奪っている。
それもそんなに長くなく、あっという間に空き地まで移動して走り抜けてしまった。
「話する時間は後であるから心配すんな」
「うん。してないよ。ゆっくり話したいし、大丈夫。
それよりも、ねぇゼロさん」
「あ?」
ゼロさんの目がこちらをむく。
見てたよ。手、悪魔の手にしたところ。今も目が赤いのも。
「ウラガ。すっごい強いでしょ」
「………ま。正直予想以上だった」
ゼロさんはにやりと笑う。
「いつか俺を殺す候補としては十分だな」
くそ。こう言われるとは。わたしを意気消沈させるには十分なやつだぞ。
でも……それでいいのかもしれない。
昔、わたしがゼロさんに助けてもらう条件。
それは、必ずいつかティナ堕ちするゼロさんを「殺す」こと。
それがゼロさんと、わたしやウラガ…当時でいうならシルクへの条件だ。
望みが叶う存在であるということは、悲しいけど良いことなのかもしれない。
「だけどな…なんか腹立つ」
「え?」
「なんとなく、あいつには殺されたくねぇな。やられる前には殺す」
なんでそうなるんだよ!