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「お前、ほんとにやれるのかよ」
「いや、マジでヤバい。技術が理解できない!」
「時間ねぇんだぞ」
ヤマトは戦争に乗り組むのだという話をしたら、それはヤバすぎると止めた。
というのも、こんな速度オンリー重視の飛空挺が飛んでたら、両者必死に撃ち落とすだろうと。
運転が出来るのがゼロさんだけなんだから、その攻撃をどうするのかと。そしてくぐり抜けたところで降りてきた誰かをどちらも許すわけないと。
「ゼロさん以外死ぬでしょ!!」
それこそ流れ弾で!とヤマトは叫んだ。
まぁ、一理ある。
ゼロさんが、そうさせないかもしれないけど、そこにヤマトまで入るかどうか怪しい。
…………きっと入らない。
「ゼロさん、知識」
「あ?あー……ここが核みたいなもんで、あとはここが管。動力の線」
「要点だけ」
「核、流れ、血管、魔力」
「中心点。禁止箇所」
「マーク」
「把握」
なにこの会話。
「あいつらはよー!昔一緒に潜入とかしててよ!そういう時素早く連携するために、あーなったんだ!」
「その時スターは?」
「オレ様もいたぞ!」
とんでもない速度で始まる飛空挺の加工と会話。
ゼロさんが知識を出して、それを用いてヤマトが改造していく。
凄い。ヤマト凄い。
ゼロさんが任せるなんて珍しいし、何より手掛けているのは銀さんが作った意味不明な飛空艇だ。
それをいじれるだけでも、いじろうとするだけでもすごい。というか任されてるのもすごい。
今回やろうとしているのは、機体を透明化すること。目に見えないようにする加工だ。
見えなければバレないし大丈夫という怪盗ならではの提案なのだ。
「問題はゼロさんの異常な魔力で動くかなんだけど…」
「俺のじゃねぇよ。コレの動力は俺の魔力が元の銀の何かだな。その動力でお前の魔道具が使えるかだろ」
「うーん。どうかな。試運転してもいい?」
「一回だけな。もう時間がねぇ」
「時」
「10」
猛スピードで作業をはじめるヤマト。
10って10分ってことなのか。
「できた!」
秒だった。
「行くぞ。時間がねぇ」
「試運転は!?」
「向かいながらする」
「え!?どうかなったらどうするの!?」
「その時はその時」
飛空挺は飛び立つ。
外から見ないとどうなってるかわからないから、一時的な自動運転モードにしてゼロさんが確認してくれた。
「どうだったの?」
「だいぶスピードはおちたが、概ね成功だ。若干揺らいでるが、気をつけなきゃ見えないだろ」
それなら戦争中の状態なら平気だろう。
ウラガなら……気づいちゃうかもだけど。
「これであとは向かうだけってことだよね?」
「ああ。毒爆撃は止まったとして、どうせ毎日争ってんだ。それに混ざる」
「紛れるって言って欲しい」
ゼロさんはニヤリと笑った。
嫌な予感しかしない。
わかってるんだ。
ゼロさんとウラガは、きっと相性最悪だって。
二人とも負けず嫌いだから。