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凄い勢いだ。
少し泳ぐことも抵抗もできない。
とにかく上に。
上じゃないかもしれねぇけど上に手を伸ばす。
指になにかかすめた。
よし。こっちを上ってことにしよう。
その上に向けて、手を伸ばし、指をのばし、何かに触れるのを待つ。
触れた!
「おらぁっ!!」
ひっかかった指先に全力を込めて、体を持ち上げる。水流が抵抗するが、この位なら片手で耐えれる。
指にあたる穴は、一部天井が崩れたらしい。
この水流に耐えれなくなったのか、時間が経ったせいか。まぁどっちでもいい。
少し、休憩だ。
この先は地獄。ゴミを砕くために、なんか色々あるらしい。息止めてられる範疇も軽く越しているんだろう。
ま、やったもんはしかたない。
何とかここから出る。
さっきの戦闘の傷は徐々に回復してるし、やるしかねぇし。
それに、この先に何があったとしても、だ。
"死"がある時点でこっちの方がマシ。
地獄に殺されるオレじゃない。
"オレ"が殺されるわけが無い。
「さぁ、勝負だぜ。アガドの手作り地獄!」
この先何が待っていようと関係ない。
オレは絶対に生き残る。
イーリスとまた会うために。