10
「あ、シルク!」
イーリスが駆けていった先には、青い髪の子がいた。 見た瞬間に、子供じゃないのはわかった。 こいつは危険だと脳が揺らす。
「イーリス。どこ行ってたの? あぶないでしょ」
ただ、優しい目つきは本当のものだった。
「それと…..君はだれ?」
オレを警戒するのも、イーリスを案じてのもの。
危険なのはわかる。 ただ、 害意はない。 イーリスも信頼を寄せている。
引きはがした方がいいのはわかっても、それが良いことだとは思わなかった。
「オレは、ウラガだ」
そして、イーリスが大切にする人間ならオレが守らないといけない。 それが守るということだ。
「君はなにができるの? ウラガ」
右の拳を壁に叩き付ける。 その岩の壁には亀裂が走った。
目を丸くする二人。
ああ、やりすぎたか?
「すっごい!ウラガすごいね!!」
イーリスが飛び跳ねて喜ぶが、シルクは怪しく目を光らせる。
こいつ、やっぱり危険だ。
「ねぇ、シルク。ウラガと友達になったの。 一緒にいるんだよ!」
…………は?
「友達ってなんだよ」
「友達は友達……」
「いや、 友達じゃねぇよ」
「えー! 嘘だー!」
嘘だって言われてもなぁ。
「いいじゃない。 今からぼくたち3人友達だよ」
「シルク!」
「それが良いと思わない? イーリスも、 ウラガも。みんなそんなに年も変わらなさそうだし ね」
優しい微笑みを浮かべるシルクという男。
危険なのはわかる。 だからこそ見張っておく必要がある。
「わかった」
「うん、それがいいね!」
「じゃあこれからよろしく。 みんなで、頑張って生きていこう」