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破壊の魔王  作者: Karionette
捜索編 第三章 黒島へ
253/347

02




目的が変わった。

ウラガは、黒島にいる。


黒島で有名になって、わたしに見つけてもらおうとしている。

自分で力をつけて見つけようとしてるのかもしれないけど。



「黒島に行くぞ」



ゼロさんのその一言で行動が始まった。 黒島は東の果てで、ここから海を渡ればたどり着けないこともない。



「熊はこの近くにはいねぇ。婆もいねぇし…。別の手段を考える」



と、投げやりに言われたけど、ここにはリオもジルおじさんもいる。 相談し、考えて、秘密裏に街に向かうことになった。



「あたしが街に潜って連合の人間を探す。 見つけたら外に引きずり出してくるから」



若干物騒だけどそういうことになった。


そしてたくさんいる子供たちをどうするか。 捕虜になっているジルおじさんでは軍を手配することも難しい。


それに、この子供たちを見つけた由縁を聞かれると、いろいろとまずいことになる。


まさか全員分の身分証をリオの幻術で見せかけるのも難しい。



「狐。 連合の人間と奴隷商を連れてこい」


「なるほどね。 イーリスも含めて奴隷として街に入れるのか。奴隷は身分証がないから…..」


「そういうこと。 ジジイは頃合いを見てそれを取り締まれ。どう考えても違法なやり方で街に入れてやっから。 で、 子供の開放はそのまま軍で進めればいいだろ」


「……お前最悪だな。 その奴隷商を利用して、挙句にはお縄にするのかよ」


「奴隷は嫌いなんだよ、俺は」


「同意だ。異論なし」



と、なると始まるのは大移動。


近くの街……それも結構な大きさの街まで行かないといけない。 ジルおじさんのおかげで道が分かり、進路は決まったけど、歩いていくにはすごく時間がかかる。



「ということで、あたしとゴルドで先行する。 連合の人間に足を出させるから」



連合の人間。 すごく便利。


身分証のあるリオなら街に入ることは簡単だし、ゴルドは小さくなって人形のようになれ る。

そしてリオはルナティクスでずっと働いている美人さんだ。

九尾のティナ持ちであることも相まって、連合の中でも有名人で、連合に所属していなくても、ルナティクスを知ってる人は、協力してくれることは多い。



「それにしても……ゼロさん、どうしてわかったの?」


「あ?」


「ガレアが、 ウラガのことだって」


「あー……」



ゼロさんは子供たちの引っ越し準備をぼんやり眺めながら、煙を(くゆ)らせる。



「苗字」


「苗字?」


「戦争で役立つ奴が貴族じゃあるまいし、黒島でもないなら、基本的に苗字を持つことはねぇ。なのにあるってことは……ま、勝手に名乗ってるか。なんかの事情かだろ。

それなら 読み方が逆の可能性もあるだろうって思ってな。

で、よそ者がガキにも人気があって、戦場で活躍してる。 結構な実力のある何かが、あそこに流れ着いたってことだろ」


「そこから考えたの?」


「まぁな。 アガドでの時期と潮の流れを考えると……アガドから黒島に流れ着いてもおかしくはない。 普通は死んでるけどな、そんな大移動。

あとは赤髪っていう特徴があって、銀でも見つからねぇ程に見た目が広まってねぇのも、あそこじゃ兜かぶるから、わからなくても仕方ねぇし、黒島が自分で情報を晒すことはないからな」



問題は、とゼロさんは続ける。



「そいつとの接触方法だ。 今、黒島への立ち入りは基本禁止だ。 あいつらら、島の人間以外は敵 だと認識してるらしい。

味方のフリをして侵入するのも今の状況じゃ難しいだろうし、正直連合の人間でも、あの 島に連れて行ってくれる奴がいるとは思えねぇ」


「じゃ飛んでいく?」


「戦争真っ只中で何かが飛んできてみろ。 集中攻撃に遭うだけだろ」


「わたしが魔法を防いで、ゼロさんが武器を防ぐっていうのは?」


「何かが単騎で来たって思われるのが悪いんだよ。 しかも相手が俺なら猶更。 全員ぶち殺していいなら構わねぇがそうじゃねぇだろ」



うーん。 まぁ、そうだよな。


ウラガに会う前に殺されるかもしれないし、いきなりガレアに会いたい! なんて言ったら、怪しいとしか言いようがないよね。

しかもかの有名な闇の帝王に連れられたわたしがそんなこと言うんだから怪しさは満点だ ろう。


うん。わたしでも殺した方がいいってなる。



「……多少手荒になるが、 しょうがねぇな」



悶々と考えているとゼロさんはぽつんと言った。 しょうがないと言いながらも口の端があがっている。 聞きたくない気がしたけど、 聞いてみた。



「戦争に混ざる。 で、そのウラガってやつをぶっ殺して攫う」



ものすごく物騒な提案でした。




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