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破壊の魔王  作者: Karionette
捜索編 第二章 死神
244/344

02




「...... ああ。 だよなぁ。 予想通りだ」



俺の手は銀色の剣に阻まれる。

二つの交差した剣は、そのまま俺の手を焼いていた。



「ルークっつったか?」



仮面の男は即座にその場を離れ、仮面女のもとまで飛びのく。 抑える気もない魔力に溢れている。 隠す気もねぇってか。



「る、ルーク・・・!」


「ビショップ。 下がれ。 相手が悪い」


「あなたにとっても同じでしょう?」


「命令だ。お前の手には負えない」



仮面の男は剣を構える。

雷が刃を纏い、 闇夜に光をもたらした。


光はやめろよ。 せっかく紛れるようにしたのに。



「….....その姿はどうした」


「あ?」


「目の前にいるのにいないようだ」



前から構想はあった。 俺の技を組み合わせることに。

ただそれをすることでの負担を考えると、 手が出せなかった。 相当、魔力に余裕でもなければ。


体という概念を壊す。 ただ、物理を通り抜けるまでやれば時間制限がある。 だから、あくまで姿を、 気配を、生命力を消す。


魔力という力を壊す。 ただ、使えなきゃ意味がない。 だから、あくまで外に出ていく全てを。 あふれ出そうな力を全て。


最後に相手の認識を壊す。 精神をぶっ壊すまではしなくていい。少しの勘違い、認識の相違を起こす。


髑髏の仮面はニが持ってきたものだけど、あってちょうどよかった。

結果的に存在感の欠片もない死神ができあがったんだから。


雑魚や大群には向かないが、こいつほどの手練なら有効だ。

魔力を見ても当てにならない。姿を目視しても同じ。そして、その認識さえ曖昧。


ただ……あれだな。 もう闇を放つ余裕すらねぇな、これ。 見た目死神なのにすごく肉弾戦。 あとは……覚醒状態の重力のアレだけか。



「下手に破壊の力を放たれるより脅威的だ」


「 所詮あれば集団破壊と雑魚の掃討に使うもんだからなぁ」



闇の破壊は、攻撃力は馬鹿みたいに高い分、嫌でも相手は防御する。魔法で相殺できるだけ、得はしない。 あっちは魔法を連発できるけど俺はそうじゃねぇし。



「退いてくれ。 こちらにも譲れないものがある」


「お前こそどけよ。 そこの女は殺す。 最重要事項だ」



仮面は剣をおろした。

何考えてるのか、仮面の下じゃ感情も読めない。



「ビショップ。 何を知った?」


「......報告はキングにするわ」


「時間がかかりすぎる」


「そんなことはいい。 ルーク、 この男は、ゼロなの?」



へぇ。こいつわかってなかったのかよ。

それほど今の俺は普通と違うってことか。



「ビショップ」



仮面の男はその刃を女に向けた。



「命令だ。 何を知ったか答えろ。 そして、 答えた後にそれを捨てろ」



…..…..は?



「拒否するわ。 ルーク、 あなたと私は対等よ」


「この男が関するところでは対等じゃない」


「...なら、こいつは!!!」



双剣が光る。 女の仮面にうすい切り傷が走り、男は再び切っ先を向けた。



「最後だ。 ビショップ。 コマは指示に従え」



ビショップと呼ばれる女は、しばらく口を閉じ、それからここ数日の出来事を話す。


感情のこもらない声から事実だけを述べていく。 ほとんどはイリスについてだった。


ああ、やっぱりな。こいつ馬鹿じゃない。


木を操る力じゃなくて、対象の力を増幅するものだと認識してる。


イリスは願いという形で木に力を送っているが、意思の無い木樹が勝手に成長したり自由 に動くのは本人がそのように力を送っているからだ。 無意識に近い形で。

見た目なら木を操ってるようにしか見えねぇのに、魔力が見えるヤツはこれだから……。


一度見ただけでそれを理解したってことは、 実力者なことは確かだろう。 少しここから離れるのに時間がかかりすぎてるが、状況の理解と、訪れる施設が破壊されていることで遠回りになったようだ。



「以上。記憶の消去に移る」


「その後に2時間休め。 適当に運ぶ」


「...... どうせ消すから最後に聞かせて。 そいつは、あいつなの?」



女は殺意のこもった目でこちらを睨む。 俺と同じように魔力を感知させないこいつが、ばしばしとわかるほどの魔力が吹き荒れさせている。


こいつの魔力量も尋常じゃないな。 仮面と同じで。



「……ビショップ」



男は答えなかった。 それが答えだと、女はがくりと頭を垂らす。 仮面の下からは唇を切ったのか、赤い血が雪に落ちた。



「消去、開始」



女はそれだけ言ってそのまま動かなくなった。



「……これでいいか?」


「いや、馬鹿かお前。 記憶を消せって言って消せるかよ。 機械じゃあるまいし」



または、俺じゃあるまいし。いや、俺でもできねぇよ。 たぶん。



「できる」



仮面野郎は堂々と言った。


……ち、嘘じゃねぇか。 いや、でも俺にこいつを生かしておく利点ってあるか? ……過去の俺を知ってるやつの一人か。くそ、若干利点があるな。



「1つだけなら、何でも答える。 これで対等か?」


「......お前」


「考えそうなことは大体わかる」



男が近づく。剣は雪に突き刺して、 それでいて俺の間合いに。

たぶん1秒もかからず首をとれる。 そこで男は白い仮面を外した。


同じ年くらいだろうか。 軽く動きのある茶髪と金の目。瞳孔は、 赤。

左目にくっきりと残った切り傷の下には刻まれた文字があった。 LXIV。 意味は64。



「お前には、嘘を言わない」



ずきんと、頭が痛む。


俺の体はこいつを知ってる。 覚えている。 そういうことか?



「...... アルテマの目的はなんだ。 64」



俺は問うた。 男は機械的に即座に答える。



「アルテマの目的は絶対的な力、完璧な能力、 最上で最強であること。 それだけだ」




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