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破壊の魔王  作者: Karionette
捜索編 第一章 雪の中を
240/346

09




目が覚めると洞屋の中だった。


空気はぽかぽかして暖かい。

ずきりと指先が痛い。 いや、思ったより全身が痛い。 指先より全身が痛い。

え、思ったよりすごく痛い!


でも生きてるってことだ。



「起きたか」



そこにはゼロさんがいた。 相も変わらず、 だるそうな顔したゼロさんだ。



「助けてくれたの?」


「助けてもらいたかったんだろ?」


「うん。 ゼロさんなら間に合うと思った」



雪崩にのまれるのが怖くなかったわけじゃない。 でも火をあげたら、空を燃やしたら、絶対にゼロさんがきて助けてくれると思った。 他人任せと言われてもいい。 来ると思ったんだ。



「無理しすぎだろ」


「ゼロさんに言われたくない」


「お前は人間だろうが。 ティナ持ちの俺と一緒にすんな」



だって、今も服はぼろぼろ。

体も包帯だらけじゃん。 服治す余裕もないんでしょ? その様子なら。



「それに最後とっさに木たちを呼んだし、わたしも無理ばっかしてるんじゃないよ」


「あー 木ね。 全部破壊したな」


「...... ごめんね、木さん。 わたしは酷いやった」


「だな。 力を与えて壊させるとか……」


「ううう」



同感です。



「そうだ。子供たちはみんな無事?」


「怪我人は数人いるが、あの2人が頑張ったみたいで死者も攫われた奴もいねぇよ」


「そっか……。 それで、サンロくんは?」


「もうここにはいない。 アルテマの拠点があったが、そこは潰しといた。 殲滅はできなかったのが、あとあと面倒だけどな。

あとは銀に探させる。 黒髪黒目の6歳のガキなら情報も手に入りやすい」


「...... アルテマ。 攻撃できたの?」


「ああ」



なんだ。この力ないゼロさん。めんどくさがりの境地はこんなになるのか。もう指一本も動かさないじゃん。 ソファーで寝そべったまま微動だにしない。

いつもならアルテマに攻撃できたこともう少し喜びそうなのに…。



「今、俺の体は俺のじゃねぇから」


「.…はい?」


「今はティナに持ってかれてる」


「はい!???」



がばっと立ち上がった。 痛いけど、痛みも吹っ飛ぶくらいの爆弾発言だ。

ティナに持ってかれてる? なにそれ! 呑まれてるってことよね!?



「違う。一時的にそうなってるだけだ。 俺も暴れないようにするので精一杯」


「え? あっと、魔力いりますか!?」


「魔力があっても止まらねぇから。 魔力が少ないからなってるんじゃなくて、やり方がまずかった」


「何したの?」


「言いたくない」



そう、ですか。 無理強いはしないよ。



「近くにいてくれ」


「珍しいね。そんなこと言うなんて」


「俺の意識がとびそうになってたり、 俺じゃないって思ったらとにかく呼べ」


「理由か物騒でした」


「当たり前だろうが。 じゃないと頼むかよ、こんなこと」



にやりと笑うゼロさん。 いつも通りを作ってるみたいだ。

無理しなくてもいいのに…..。


よし、仮面の女の話はまた今度にしよう。

体が痛いのも後にしよう。



「じゃ、 ずっと名前呼んでるね」


「うるせぇから止めろ。 ストレスで死にそう」


「そんなんで死ぬわけないじゃん。 天下の破壊神さまが」


「俺にも自殺という素敵な死ぬ手段があってな」


「素敵とかやめてください」



それからわたしはずっと続けた。 真っ黒になったゼロさんの腕が急に襲いかかったり、ゼロさん自身を傷つけようとしたりした。

けど、 それでも話し続けていた。


その時は夜が何度あけたのかもわからなかったけど、ゼロさんに引っ張り起こされたのは3 日後の朝だったらしい。




遅刻しました!

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