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破壊の魔王  作者: Karionette
捜索編 第一章 雪の中を
237/347

06



ゼロさんがきた。

と思ったら、誘拐かと思う速さで連れ去られた。途中ありったけの食料とか布とかを買って。


なに?どうしたの?


そんな説明もなく、辿り着いた先は、わたしの力を最大限に活かすべき場所だった。



「うっめぇえええ!!」



食べ盛りなのにやせ細った子供たちにとにかく大量に食べさせる。同時に病院食を作って、病気の子供に食べさせる。

は、つぎは薬か。



「ゼロさん!子供たち全員にバリッと!!」


「おーい、お前ら。食ったやつから並べ」



お得意の不衛生消えろ破壊を全員にしてもらい、部屋も綺麗にしてもらう。

それから黒髪の女の子と話しながら、片手で子供を放り投げてた。

遊んで、あげてる、のかな?



「闇の帝王!頼みがある!」


「いやだ」


「鍛えてくれ!先生!」


「いやだって」


「お願いします!!」



お願いする前に木剣で突撃するニキチくん。

やだと言いながら簡単にそれを弾くゼロさん。

もはや見てすらない。



「イチ。まず、お前らに契約は重すぎる。ガキだからな」


「でも、サンロのこと……」


「あぁ。だから、簡易な約束、だ。守ってやる。生きてるなら助けてやる。殺すようなことはしない。だから、俺の存在とイリスのことをバラすな。ここにいるガキ全員だ」


「……それは契約と何が違うの?」


「お前の条件で契約を組むなら、バラすなだけじゃ済まねぇんだよ。だからっていったって、ガキのお前らに期待できることはねぇし、親も死んでるっつーんだし、大人になるまでは俺が待てない」



イチカちゃんは暫く考える。

一瞬でイエスと言わないのは流石だ。脱獄したときのわたしは……よくわからないのに速攻オッケーしたもんな。うん。



「……ゼロにメリットがない。でも、さしだせるものもない。うん……」


「そういうことだ。どうする?」


「……故郷に帰りたい。みんなにも生きる場所が欲しい。いつか、力になる。助けて欲しい」


「それは約束しねぇが、俺はわざわざ殺しも放り捨てたりもしねぇよ。俺の優先事項の邪魔にならねぇなら、手助けくらいはしてやる」


「……なぜ?」


「一応助けてもらったからな。あの時。放っておいたところでどうもなかったろうが……ま、より安全だったのも間違いはない」


「でもこんなに今助けて貰ってる」


「それをやってるのは俺じゃなくてコイツだ」



顎でこちらを指す。

資金源は全部ゼロさんだけどね。



「ま、難しい話はなしだ。とにかく俺とこいつについて、何も情報をばらすな。ガキ全員な。その代わり、殺さないし、気が向く範囲で助けてやる。いいな」


「…………うん。ありがとう、ゼロ」



ゼロさんは、色々道徳がぶっ壊れてる。

幼い時から殺し合いが普通で、その……倫理観を正しく持てというのが難しい話なんだけど、とにかく人になにかすることに関して、殺すこと含め全く抵抗がない。

じゃないと生きていけない人生だったのだ。


だからといって、昔は……そうじゃないと言えないけど、今のゼロさんは何も無慈悲な訳では無い。

最優先にはしなくても、助けれる範囲で手を貸してくれるんだ。



「イリス。暫くここ任せれるか?」


「え。もうゼロさんいくの?」


「急いだ方がいい」



簡単に事情は聞いた。

子供たちはみんな誘拐されてて、別の場所にまとまって移動中に逃げ出したのだと。

黒髪の子供3人組が魔力が高く、戦闘力もあるらしく、隙をついて逃げ出したらしい。でも、その最中に兄弟の3番目の子と、ほか数人が捕まったというのだ。



「子供攫うって……」


「あぁ。あいつらだろうな」



アルテマ。

ゼロさんの目的とする組織。

記憶のないゼロさんの過去に関わっていて、何処よりも秘匿性の高い組織だ。

目的も不明な所だけど、そこでは何故か子供を集めているらしい。わたしの仲間で家族だった……シルクが組みしている所だ。



「1週間以上前の話ならしい。ま、徒歩で向かってたってことなら、近くに何かしらの拠点があるだろ。それを探してくる」


「で、子供たちを助ける、と」


「まだいればな。違う拠点に移動されてるかもしれねぇから、約束は出来ねぇけど」



ゼロさんは簡単に装備を整えると、用意していた保存食をまとめて抱えた。

ちょ。それここの緊急時用……。



「3日以内にはとりあえず戻る。ま、なにかあったら呼べ。どいつかに魔法あげてもらえば気づくだろ」


「3日……、そんなにかかりそう?」


「あの組織なら相当隠してるだろうからな」



そう言いながら干し肉を一切れ齧り、ゼロさんは颯爽と飛び去っていった。





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