03
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★謹賀新年★
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街を出て更に北に向かうと、雪はどんどん酷くなって、ものすごく積もった。 背が伸びたとはいえ、自分の身長よりも高い雪の山を見るとぞっとするものがある。
これ、崩れたらきっと死ぬね。うん。
というかこの季節、アガドルークって機能できるのかな。
「......雪、 止まないかな」
いつも通りに小さな宿舎に二人で泊まり、雪がおさまるのを待つ。
向かう先は王都にした。
王都にいけば人が集まっている。 ということは情報も多いということだから、王都を目指すことにしたのだ。
どうやって入るかっていう問題を考えながらだけど。
とりあえず、近くに雪道用の乗り物あるらしいから、雪が止んだらそれに乗って向かう予定だ。
「止んでも積もるからな、アガドは。めんどくせ」
そしてゼロさんだが、様子がおかしい。
なんというか、雰囲気がね。なんとなく、なんとなくだけど。
なんか違う。
「……ゼロさん大丈夫?」
何度目かの「大丈夫?」 だが、これに応えてくれた試しがない。
しかし今回は違った。
「イリス。 気をつけろよ。 用心はしとけ」
「はい?」
「夜這い、強盗、詐欺、暗殺・・・。 注意を払っといて損はねぇよ」
「いや、わかってるけど、どうしたの?」
そのままゼロさんはふらふらと外に出て行ってしまった。
…え!?
このタイミングで何で外に出たの? 今昼だよ?曇ってるけど。
「ちょ…ゼロさん!?」
慌ててベッドから飛び降りて向かうも、廊下には誰もおらずもぬけの空。 念のために宿の外まで出たけど、いつもの静かな町が広がっているだけだ。
え。あの一瞬でどこに行ったの。
あの名前を大声で呼ぶわけにもいかず、わたしはすごすごと部屋に戻った。
なにせ寒い。 外に出るならもっと着込まなければ。
「どうしたんだろ・・」
ゼロさんのことだから、心配はないんだろうけど、ゼロさんの場合は全身ずたずたになっても心配ないって言うからなんかなぁ。
死んでないんだからいいだろ、みたいな感じ。 もっと言えば心配しても意味ないだろって言われちゃう。
「でも、なぁ…」
心配なものは心配だ。
ゼロさんの場合は、死ぬほど魔力も使ったし、拷問も受けたし、シルバたちに試練受けさせれたし……。 最近カリタ吸ったりもあって、 調子が悪い原因がありすぎる。
リオたちと分かれて二人旅になって暫く経つけど、時々、ほんとに調子悪そうだ。
心配だ。
でもなんもできない。
だからってそれで何もしないのはもったいない。 走って追いかけたって追いつくわけもないんだから、ここで待っていよう。
待ちながら、 何かしておこう。
最近始めた、薬づくりの開始だ。
「ゼロさん、早く戻ってこないかなぁ」
薬効のある葉っぱや実をぐりぐりと混ぜながら、何もない天井に向かって言葉を漏らした。