表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
破壊の魔王  作者: Karionette
復興編 第六章 先へ
228/347

06




「でっか」



イリスの開口一番はそれだった。


だよな。 俺も驚いた。


装飾も妙に凝ってるし、資料館というか幽霊屋敷だろ。



「なんか、でそうだね」


「確かにちょっと不気味かなぁ」


「かかかかかまわぬ!行くぞ!」



深々と帽子を被って日傘さしたヴァンパイアがガクガクと建物に入る。 チケットは人数分とってくれていたらしく、 まとめて受付に渡した。 そのチケットは粉々に “破壊” された。


・・・・・・・・なんか疼くな。



「ごゆっくりいってらっしゃいませ」



にこやかに笑って案内された入口には、 気持ち悪いほど手配書が張ってあった。


全員、一時硬直。


すげぇな。 ちゃんと時系列追えてる。



「最初の手配書、 絵もなかったんだ・・」


「悪魔の翼に赤い眼、闇のオーラを纏う。 金額交渉次第。貴族の資格を得る以上 のものを約束します。 か」



だんだんと絵が描かれる。 見た目や目の色とか。



「顔が出たのは比較的最近じゃったのか!」


「まぁ・・・もういいかなって」


「今まで逃げてたの?」


「いや。 今までは大抵皆殺しだったからな。 逃げるときもあったけど、 そうなると俺の後ろ姿だけだし。

この時は、敵を倒した後に生き残ったのが偶然ただの人相書き担当の奴で…殺意もなかったから許してやった」



そしたらこんなにおぞましく書きやがって。 俺はこいつに掴みかかってねぇし、 笑ってもねぇはずだし、闇だってこんなにでてねぇよ。

・・・・・・・・たぶん。



「この時なんで頭怪我してるの?」


「いや。 返り血」



こうみたらこの絵の正しいところって頭の血だけだな。


・・・たぶん。



「実際ゼロを軍に渡したらいくら入るんだろうね」


「さあな。 俺を殺せるほどの奴なら、金渡すよりも鉛玉でぶち抜きたいだろ」



確かにと全員が頷く。

さぁ、次に行ってみるか。


とにかく暗い道を歩くと、身に覚えのあるような無いような罪状がずらずらと書かれてあ った。 年表というか、履歴書みたいに。


一年中騒動を起こさないと気が済まないのかってほどのレベルで。



「・・これほんと?」


「どれ」


「街の、 破壊。一夜にして無くなったって」


「ああ。 あったな」



ガキの頃に感情的になって、引きずり出した魔力で……訳もわからないうちに消してた。

俺も死にかけてたなぁ、あの日は。



「これは? 軍艦10隻を沈めて高笑いしてたって」


「昔ならあり得るけど、比較的最近ならねぇな。 軍艦は俺を追ってこれねぇからあんまり使われないし、俺も太陽の関係で海を移動することはあんまりねぇ」



昔は場所選ぶ余裕もなくて、海に落ちた時に熊に会ったんだが。



「これはほんとか! 孤児の施設に乗り込み皆殺しと…」


「それはねぇ。 んな面倒なことするか!」



軍人の殺害や設備の破壊は俺でもおかしくない。

俺の()に関しては、もうやりすぎて覚えてないほどやった。 でも、この…虐殺とかバラバラにしたとかは勘弁しろよ。 何のメリットもねぇ。 基本一般人には手を出さねぇよ。



「酒盗んだってのもあるよ」


「……」



ま、基本だから。基本しねぇよ、基本は。


それから、破壊された家の残骸や死んだ奴の着てた物とか、剣の絵とか、資料館らしいものが展示されてた。


イリスは始終顔をしかめてるし、ヴァンパイアは興味津々に、狐は無表情のままだった。


俺もなんとも思わない。


まぁ俺がやったっていう実感もほとんどない。 実感が湧くには俺はやりすぎたし、殺しすぎてるだろう。


展示品に対して、 まぁ、壊し残した物としか思わなかった。



「む!」



次に進むとそこには、気持ち悪いほど絵があった。


俺の。



「うま!!!!」


「うまいとか言うな、馬鹿」



完全に俺がティナの力使ったときの姿だ。 思わず顔を隠したくなるほどに。


色合いといい表情といい。その一瞬を切り抜いたみたいだ。 それをいくつも並べたら・・



「ちょっとキモイ」


「イラつくけど、 同意」



煙草吸ってる姿、休んでる姿、 戦闘中、 空飛んでるとこ、酒飲んでるところ。


なんだこれ。


俺のこと見てるのか? 見てるっていうか、想像だよな。 寝てる姿とか描けるわけねぇし、見て描いたとするなら、翼も爪もなくさないと。



「間違いなく! ルシファのファンじゃな!」


「気持ち悪い」


「何を言う。 好まれとるということじゃぞ?」


何処(どこ)ぞの知らない誰かに好かれたところでなぁ」



俺はこれを眺めるより、 とっとと全部破壊してやりてぇよ。

気色わるい。



「…最後にカードもらえるってよ。 ゼロの絵を描いたやつ。 ちょっと記念に買ってくる」


「妾もいる」


「いるか!!」


「なんならここにいる人を、ゼロコスプレにして描いてほしい」


「本人をモデルに本人を描くということ?!」


「意味わかんねぇこと言いだすなよ、狐」



俺の資料館ていうから何かって思えば、 最後芸術館になってんじゃねぇか。


絵の次は? 彫刻?気持ち悪!



「・・・ゼロさん」


「あ?」


「この絵を描いた人、会えたりしないかな?」



……あ?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ