02
わかってる。 こいつはティナだ。
ルフという生き物のティナだ。
俺の知ってるやつじゃない。 ここにいるのは魂で、混ざりものだ。
わかってる。 んなことわかってる。
「闇の帝王を討伐しろ!」
「やれやれ――!」
「あーはっはっはっはっは! なんという劇だ! すばらしい!」
笑ってやがる。
俺を、ルフを見てる。
見世物ってか? あ"?
いや。
落ち着け 落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け!!
今は。
今は、それどころじゃねぇだろ。
「ニンゲン......」
刺付きの鎖で絡められたルフのティナ堕ちは狂ったように暴れた。
「ニンゲン! 殺ス! 滅べ恨みを! 滅ぼした恨みを!!」
「ゼロ!!」
一瞬で壁まで吹き飛ばされたが、 狐の尾がそれを止める。 ただ暴れただけで骨がいかれたか。
「ァ・・」
ルフはすぐに動きをとめて、 また泣きそうな目でこちらを見る。
お前な。 なんでティナになっても顔変わらねぇんだよ。 鳥のくせに泣きそうな面すんなって何回言わせれば……。
「チガう、ニンげん、 きらイ、れーくん、レーくン、チガう、 チガ、ちがうの二」
……あーくそ。 壊さねぇと。
じゃないと永遠に終わらない。 終わらせないと。
俺が。
「お集まりの皆さん!」
甲高い声が響く ここの主催か、 根源か。 そいつは女で、ティナ持ちだったらしい。
「この度はすべての演目を変更し!お送りしましょう! ティナを得て堕ちた怪物と、悪名高い闇の帝王の殺し合いです!
これほど難しい賭けはないでしょう! なにせ闇の帝王は何度もティナを屠った悪魔で、 ティナ堕ちは今日に至るまで全身に杭を打ち込み水の中に沈めており弱ってます!
弱った怪物と百戦錬磨の化物! さぁさぁ!どちらが強いか見物だぁ~~~!!」
歓声が上がる。 笑い声が聞こえる。
反して頭に鳴り響いていたティナの声は止んだ。
傑作だな。
この声を聞いて、 枷 を外せってか。
それか、またクソみたいな言葉使われて、 俺が堪えられなかったか。
「ゼロ。 あたしはアレをやる」
狐は振り返りもせず、 その司会の女へ向かって飛んだ。
青い炎がこちらにも飛び散り、調整がきいていないのがわかる。
まぁ仕方ないだろう。 いくら狐でも。
そうか。
そいつを俺に殺させないのか。
じゃあ俺は何を破壊すればいい。
「...... そんなの、わかりきってるか」
いつの間にか広がっていた大翼と鉤爪のようになった黒い手。 知らない間にネジは飛んでたらしい。
剣を握る。 壊す。
それだけだ。
「レイくン、いたイ、ニクイ、たまらないヨ、もうイやダ、タスケて」
言葉はいらない。
元々そのつもりできた。 ティナを破壊しにきた。
だから、これもその一環。
闇が集まる。 荒れる覇力を力ずくで抑え、 俺はそれを放った。