02
地下施設は、暗く華やかさもない重々しい雰囲気が漂っていた。
狐が顔を歪めるのもわかる。 そりゃ獣のティナにはキツイ異臭だろう。
人にはわからないだろうが、ここは消せない死臭に満ちている。
「狐。それじゃ倒れるぞ」
「大丈夫。銀からそのためのものは預かってる」
そう言ってアメのようなものを口にいれた。 感覚がマヒする食い物なんて、俺からすれば毒でしかねぇんだけど……まぁしょう がないっか。
暗い通路を進めばいくつかの休憩所があり、 まばらに人の姿がある。 見た目じゃ客なのか運営側なのかはわからない。
流石に目につく人間全員を殺すわけにもいかねぇし、 情報屋の手の者の可能性もある。
ま、あいつ曰く間違って殺してもいいらしいが。
「間違われる行動するのが悪いのさぁ」
とか言ってたな。
進み続けると酒を飲む人間の塊が見えた。 音を聞き分けるに貴族が多い。 ここにいるのは観客ということだ。
そこで狐がつつく。
目線の先を追うと、 本日のメニューが書かれていた。
「っち」
四肢切断ショー、1対1の試合、 ティナ堕ちVS闘士、 首切り処刑・・・・・。
見下され笑われた果てに死ぬ予定表だ。
「… ウラガはここにいないかも」
「あ?」
「戦うだけならいるかもって思ったけど、 拷問に耐えるタイプじゃないよ」
「拷問ところか処刑だからな。 拷問して殺すまでがここのショーだ」
「なら猶更。 ウラガはやられる前にやるタイプだもん」
まぁだろうな。
闘士として生き残ってる可能性もなくはないが、 昔の剣闘士のように"人気者"が生まれる世界じゃない。
ただ、死ぬところが見たいだけだ。
「それに、 ウラガの手足を切り落とせる人がいるとは・・・・・」
「いちいち発言が人間じゃねぇよ」
「だって鉄格子殴ってもなんともないし、 刃物も素手でとめちゃうんだよ。 ウラガ」
「人間の要素が見つからねぇよ」
まぁ人間じゃない分生き残ってる可能性も高いってことになるけどな。
ここにいるとするなら闘士にはなるが、俺には1年以上生き残った闘士がいると は思えない。
それに・・・それほどの奴がいる感じもしない。
ああ、でもイリスと同類なら魔力なしか。
それじゃわからねぇな。
「それで、どうする? ゼロ」
「主催者を探す」
管理者。 どーせそれも下のやつだ。
大元は金だけ持って、どこか別の場 所にいる。 その場所もわかれば御の字だが、 そこまでは望めないだろう。 そういう雑用は情報屋にでも任せとけばいい。
「嫌な物見ることにはなるが、始まらねぇと動けないな」
周りの目が多い。注目する何かかないと動きずらい。 気分悪いが仕方ねぇな。