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破壊の魔王  作者: Karionette
外界編 第二章 外の世界
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12




おい、何してんだ。クソガキ。


そう言われた気がしたけど、きっと気のせいだ。



「おじいさん。何があったの?何を助けてほしいの?」


「皆が……女子供が捕まったんじゃ」


「どうして?」


「……私欲を満たすためか、奴隷として売り払うか…。考えたくもないがの」



おじいさんは顔を暗くする。それからぽつりと経緯を話し出した。


町が襲われてから随分日は経っているらしい。襲撃者たちはそこそこ有名な盗賊団ならしく、町の人たちでは手も足もでなかった。町を守るはずの軍人は盗賊と手を組んでいて、兵士は元々ここにはおらず、時々見回りに来る程度。まったくあてにはならないらしい。


そして、盗賊は町の住人を拐い、残ったのは老人だけになった。



「金を支払えば助けてやると言われたが……わしらにはとてもとても払える金額じゃなかった。見せしめのようにボロボロにされた娘を引きずり回したり、手足や内臓のない男の遺体が町に捨てられた。もう……わしは我慢ならん」



おじいさんはボロボロと涙をこぼした。



「そこであんたがたが来てくれた。頼む、わしらの町を……わしの娘や孫たちを助けてくれ!」



必死に頭を下げるおじいさん。


わたしはちらりとゼロさんの方を見た。日陰でうんざりした表情で煙草を吸っている。


うん、無理はさせたらダメだ。



「わかりました」



ガバッと頭をあげるおじいさんより、一瞬の貫くような殺気に息を飲んだ。でも、がんばる。



「でも、お金は払ってもらう」



目を揺らがせないように。


緊張を悟られないように。



「一度だけ支払える金額を言って。その金額が足りなかったら、やらない。足りてたら、絶対に失敗しないとは言えないけど助けにいく」



おじいさんは迷った。目をうろうろさせて、乾いた唇を何度も舐める。


わたしはしばらくして、何も言わずに立ち上がった。



「ま、待ってくれ!」



咳を切ったように口をまわすおじいさん。



「町の資産を!金300を出す!だから、お願いじゃ」


「うん。わかった」



わたしは即座に答えた。



「すこし休んで作戦練ったら、行くね」



わたしはおじいさんを置いて来た道を戻る。

日陰にはもう誰もいなかった。




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