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破壊の魔王  作者: Karionette
復興編 第三章 再会
199/342

05




「今日は熊たちに会ってくる。 一部無事じゃない奴らがでそうだから、狐と 一緒に後から来い」



そう言われてたから、リオと近くで待機してたんだけど、なんとリオが寝ちゃって、あの話通り、まったく起きなくなってしまった。

ここは普通の宿で安全面が万全とはいえないし、とりあえず起きるまで待っ てみる。 あっちにはすぐに行かなくても問題ないだろうし。

意外にも数時間でリオは起きてくれた。


物凄い勢いだったから心配したけど、リオは疲れた顔で笑ってた。



「いやー...。代償には悪夢ってのもあってね。寝たら絶対夢見るんだよ」



大したことないけどねと言うリオに特大肉を焼いてあげようと思った。 夢とはいえ、それで精神を病んでしまう人もいるんだからね、リオ。お医者 さんなんだから知ってるだろうけどさ。


それから二人で教えてもらっていた酒場に向かうと、忘れられたかのようにぽつんと建った酒場は、何故か屋根が一部吹き飛んでいて、そのせいで誰かの笑い声が物凄く響いていた。


誰だろうかと考えるまでもなく、誰かとわかる豪快な声だ。



「イーリス。 あたし、あそこにいる全員初対面だから、色々よろしくね」


「たぶんイカさんはいるよ?」


「あれは生き物としてカウントしない」



あ、はい。 ですね。

何故とは言うまい。


壊れた扉は開くというかガタンと外れて、 小さな店内には出来上がった大人たちがいた。


はい、海賊おじさん。 お酒弱いくせに飲んで寝てを繰り返すから、もう目が8割開いてない。


次に、ルルクさん。 あれ?全然酔ってるようにみえない。 かっこいいまんまだ。


次は、 坊主のおじさん。だれだ?なぜか泣いてる!?


次に……ゼロさんとヤマト。 なにやってるのさ。 何故にトランプなんて…。

スターはすでに撃沈してる。


それから……



「シュウ!?」


「すごー。 名前おぼえてたんだ」



不死者のティナ持ち、軍人のシュウ。 ジルおじさんと一緒にゼロさんを追っ てる人だ。

何故いる?

なぜイカさんと仲良く飲んじゃってるんだ?



「おおおおおお! ありんこか! でっかくなったなあ!」


「熊おじさん。 前にも会ったって。 前もそんなこと言ってたって」


「いやー! ほんと背が伸びた! 尻尾も生えて・・・」


「そっちリオだから」



そのリオはざっと見回したあと、熊おじさんのとこにだけ水をおいて、ゼロさんのとこへ行ってしまった。


ほんと人見知りなんだからー。



「ありんこは死体小僧とも友達なのか!」


「友達ではないけど、知ってる人だよ。 あの坊主の人以外みんな知ってる」


「あいつが一番有名人なのにのぉ」



聞くところによると龍剣とかいう凄い資格を持っていた人ならしい。


泣き上戸おじさんと名付けよう。



「ルルクさんも久しぶり!」


「元気そうだねぇ、お嬢ちゃん。 あんたの料理が恋しいよ」


「なにそれ。 わし気になる」



そっか、なんだかんだで熊おじさんに料理作ったことなかったか。



「それはそうと、ありんこよ。 人探しをしとるっての」


「え?ゼロさんから聞いたの?」


「あいつから正式にここにいる全員に依頼があったよ。 あとルナティクス関連のことをね」


「ボクも軍にそんな情報ないか聞いてみとくね」



おお、おお。 なんてことだ。 みんなが協力してくれるなんて・・・。



「あ、ありがとう!」


「礼はいいよ。 アタシぁあんたの酒が飲みたいんだ」



何でもゼロさんはお願いをしただけで、 何の取引 も契約もなかったみたいだ。 これはきっとすごいことだ。

命令でも脅しでもな く、人が動いてくれるってことは!

なによりそれをゼロさんがしたことがすごい。



「あいには命令だったけどねぇ」


「儂は情報との交換」



この人たちは置いときます。



「どわあああああああああああああああ!!!」



そこで悲鳴が響いた。 悲鳴というより怒号に近い。


まぁ誰かというのは想像に難くなくヤマトである。



「運なら勝てると思ったか?あ?」


「ちくしょおおおおおおおお!!!」


「俺がどれだけルナティクスにいたと思ってんだよ。 大抵のゲームはこなしてきた」


「ぐやじいいいいいいいい!!」



なんでも、天下のゼロさんにも運でなら負けない(かもしれない) と勝負を申し込んだらしい。


何を賭けたか知らないけど・・・酒って怖い。



「ねぇねぇ、 ゼロさん。 軍人いたり泣いてる人いたりするけど、話は終わったの?」



屋根が壊れた理由も気になるけど、まぁいいや。 誰がやってもおかしくないメンツだし。



「終わったよ。 目的は俺の生存報告とルナティクスのことと、こいつらに渡してる通信機の回収と 再配布だからな」


「…軍人の前でやってもいいのかな」


「もういいんだよ。 考えるのめんどくせぇ。 それ なりに楽しい酒だったし」



ゼロさんへの通信はもう専用機にしちゃおうって ことになって、 ゼロさん魔力で通信できる銀さん の小型通信機になったのだ。 わたしもリオも持ってる。


もちろん探知の可能性はあるけど、されたところでゼロさんが気づく方が先だし、気づかれたところでゼロさんの魔力だ。

しかも送受信どちらもゼロさんの意向一つで決まる。

気分屋の面倒くさがりには良い代物なのだ。



「あ?」



みんなの表情がふっと変わる。 泣き上戸であろう片腕おじさんもだ。

あれ?リオもか。



「・・・かわいそ」



リオがそう呟いた瞬間。



「おらああああ! 夜中にぎゃーぎゃーと騒ぎやが ってよぉ!

うるせぇんだよ! 近所迷惑考えろよ! おらああ!!!

身ぐるみはがされて死にたいか! ああ!? 金おい て死ねや!くそ野郎ども!!!」



・・・・・・なんてことを(のたま)う絵にかいたような 山賊風の集団。


思わず目を伏せる。


なんて、かわいそうなんだろうか。

若干正論が混ざっている分さらにかわいそう。



「なんじゃ! お前らも飲みたいんか!!」


「臭い奴らだ。 脳天に風穴あけたら腐臭が逃げて くれるかもしれないねぇ」


「ん? ボクお金もってないよ」


「へ、へ、へ、今の、あいから、もっと、金、も ってくって、言ったぁ?」


「僕は関係ありません!!!」


「いいいいぃいいい肉だなぁ。 試し切りにはもっ てこいだぁあああああああああ!」



ゼロさんはその光景を見ながら喉を鳴らして笑う。

怯える山賊風はダッシュで逃げようとして、 イカ の足にからめとられた。

大の大人の恐怖による悲鳴が響く。



「可哀そうな奴ら」



ゼロさんはそう言いながら煙草に火をつけた。


・・・・・・ とか言いながら、 結局その山賊たちも交えて 酒盛りしました。 ほんと、お酒の力ってすごい。




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