01
情報屋の助力もあって、 ルナティクスの復興は急速に進んだ。 物資も技術者も揃い、 街が出来上がる見通しくらいはたった。
ルナティクスは空き地だらけの方が良い。
重要な施設だけ作らせたら、あとはここで暮らす奴らに任せよう。 俺がやるのは基盤作りと、魔力を死ぬほど集める仕組みと、 あとは………まぁ、一応安全面を構築するだけだ。
「で、銀。 どうだ?できなくはねぇだろ?」
『考えさせろ』
へぇ。 銀が即答できないのは珍しいな。 俺の依頼はそこまで難易度高かったか?
「そりゃあ……いくら銀さんでも難しいんじゃない?」
「なにが?」
「街を常に移動させるなんて」
そうだろうか。
今回、ルナティクスが壊される原因となったのも、あまりにもこの場所が有名になって位置がバレたからだ。
なら、常に動いて的を絞らせなければいい。
なんなら空や海からここに到達できないようにすれば尚いい。
となると、一般人がどうやってここにくるか、だ。
距離の離れた場所での転移魔法陣は、技術の流出の危険がある。 それに魔力の使用が必須であることを考えると現実的じゃない。 移動できたところで魔力切れの廃人が来ることになる。そんな生産性のないモノはいらない。
「ゼロさん、おじさんだよ!」
「だよな。 俺もそう思ってた」
どこぞの馬鹿の息子が連合入りしたんだもんな。 あいつらの足を有効活用してやろう。
「それじゃ熊おじさんに連絡とろう!」
「そうもいかねぇよ。 暫く俺の魔力は使えない。 誰かに探知されたらめんどくせぇからな」
生存報告を兼ねて、集めてみるか。
「情報屋を呼べ。 あいつを使う」