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破壊の魔王  作者: Karionette
復興編 第二章 リオの過去
189/340

02




あたしには姉がいた。2つ年上の優秀な姉だった。


魔法は赤と黄の2属性持ちで、家業である医者の勉強もできた。 それでいて優しくて、優しいけど厳しくて、 周りからの評判も高かった。

対して、あたしは持っている属性は風の一つ。


あまり人付き合いも得意ではなく、話しかけてくる人物を睨むのが日常だった。



「リオはかわいいんだから、もっと愛想よくすればいいのに」



そう、 姉にはよく言われた。


あたしは姉に憧れた。

最大の目標で、 追い付こうと努力をしてきた。 それも性格が邪魔してうまくいかない。 それに、姉も同じように努力するものだから、差が埋まることはなく、姉を超えることはできなかった。


そんな中、 転機となったのは、大雨の降る夕食の日。



「家を出る」



姉はそう言った。 完璧だった姉には恋人ができたのだそうだ。


紹介されたその相手は荒っぽく、それでいて力もなく、言葉はただただ乱暴でどうしようもない人物 だった。

父さんと母さんは止めた。

付き合うなとまでは言うつもりはない。だが家を出るには早すぎると。

姉は当時16で、結婚はできる歳でも生活力のある歳ではない。 それでも姉は譲らず、挙句家出をした。


あたしたちを置いていった日だった。



「まぁそれだけなら、なんともないんだけどさ」



3か月ほど経った日、 一人の女性の遺体が見つかった。

化粧に派手な格好。 痩せこけて、注射の跡を全身に残し、腹に子供を入れたまま死んだ女。


それは姉だった。

見るも無残な姿になった姉だった。



「その時、ティナ持ちになった」



男を選んだことや、馬鹿な真似をしたことを恨んだのか、 完璧な姿しか知らなかった時に絶望したのか、目標を失って自分が壊れたのか。 ぐちゃぐちゃな想いはティナの憎しみに塗り替わって、 全てを抑え込んだのに残ったのは、空虚だった。



「姉をクスリ漬にして子供まで孕ませて、挙句殺した男たちは、きちんと罪人として処理された。父さんたちは至って普通の人だから、殺すとか復讐とかもなかったよ。

それよりも、 あたしがこんなになったから、そのための お金のこととか引っ越しとか。 そっちに全力を注いでくれた」



家を引き払って山奥に引っ越し、誰の眼にも止まらないところで薬を作って生活した。

あたしは空っぽになったままだったけど、機械のように薬だけ作って親を手伝ってた。



「いずれティナ持ちは堕ちるし、 力がある以上軍や賊に狙われる。 両親 が銀の連合についてどんな手を使って調べたのか知らないけど、こうしてつながったんだ」



あの日。


夜中に強烈な殺気を感じて飛び起きた。

ティナ持ちになったせいで、 感覚は鋭敏になり、身体能力は 異常に感じるほど向上している。

何が相手でも、父さんと母さんは守らないと。 その一心で 飛び出した。

その先には鋭い紫色の眼をした男がいた。


それがゼロとの出会いだった。




少し夏バテ気味で少々更新おやすみします

お待たせしてすみません……



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