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破壊の魔王  作者: Karionette
復興編 第一章 再興
185/341

09




リオが体調の悪い人を診て、 わたしが料理を作り、 ゼロさんが指示をだす。

ルナティクスに残っていた人たちは誰も残らず働いた。ゼロさんの言葉によって。


鬱憤を晴らすかのような破壊活動をまるでお祭りのように行ったと思えば、黙々と土地をならす仕事を行う。 ゼロさんの指示通りにせかせかと。



「ゼロさんってさ。 掌握力あるよね」


「そうか?」


「というか支配力かな」


「どっちだよ」


「とりあえず言うこと聞かない人はいなさそう」



意外にもゼロさんは横暴なことはせず、仕事はあるけど休憩時間もあるし、サボっていても 文句は言わない。 ただ頑張っている人には酒をだしたり声をかけたり、わたしに特別な料理を出させたりした。 頑張っている人をわかりやすく立てることで、 全員の士気をあげようとしているのか。


あとは持ち前のカリスマ性で、みんなに頼られるリーダーみたいになってる。 指示が速いし無駄がないし、意外にも危険管理まできっちりしてるし、質問したら秒で返 ってくるしで仕事をする上での環境が抜群にいいのだ。



「イースちゃん。今日はAランチで!」


「はーい!」



そして意外にも、食事や医療を無償とはしなかった。 格安ではあるけど、 毎日払われる給料から出させている。

まかない感覚で無料提供じゃだめなのかと聞いたら、それだと働かずに飲み食いだけする人がでるらしい。


ちなみにイースは前に使ったことのある偽名。 一応ね。



「それにお前らが提供してるもんが無料(タダ)になるわけねぇだろ」



・・・・・・え。 なにそれ。

ゼロさん、めっちゃいい上司じゃないですか。


と、思ったんだけど、ここまで言っておいてお酒は無料。

高い酒となると有料か、 ゼロさんが選んだ人しかもらえない。


一定の娯楽に金はいらない、とのこと。

酒だってわたしの作成物だぞ!



「これは俺が買い取った」



と、言って頭おかしくなりそうな金額をさらっと紙に書いた。 銀さんに渡せばゼロさんの貯金からもらえるらしい。


………。


いや、わたし、そんな物欲ないし。 そもそもゼロさんのお金預かってる身だしなぁ。



「つっても素人だけじゃ更地にするのも精いっぱいだな」



作業状況を見ながら煙草をくわえるゼロさん。


ここにプロなんていないんだから、できるのは瓦礫やごみの片づけと、壊れかけの建物を 壊す作業くらいなものだ。 新しく何かを建てるノウハウがあるような人はいない。



「銀に言わないの?」


「もう言ってる。 連合のやつを寄こせって言ってんだがな。 この荒れた世界情勢じゃ思い 通りには動けねぇらしい」


「そうね。 物流だってどこもうまくいってない。 材料も技術も足りないか……。レイは設計図かける?」


「まぁ一応。 プロには及ばねぇけど」



頭いい組は話し合いだ。


ちなみに見た目ばれちゃう問題だけど、そこまで二人とも気にしていない。 リオの幻術を 使うにも、ゼロさんは勝手に壊してしまうから無理だし、リオとわたしに関してはバレても大きく支障はない。

いつもの偽名を使ってるし、 服装も若干違ったりマスクで顔を隠したりもしてるけど....まぁ、一部にはきっとバレてると思う。



「イリスにやれっつっても無理な話だし、お前もそういう才能はねぇもんな」


九尾(あたし)が建物作れたらおかしいでしょ」


「まぁな」



まとめると、 問題点は材料がないことと技術者がいないこと。 良い点は労働力はあることと、整地はちゃくちゃくと進んでいることだ。


正直物資の問題が一番きつい。 建物の材料もだけど、食料や薬だって足りない。



「ボス!!ボース!!」



誰かが走ってきた。この中では一番優秀だとゼロさんが決めた人だ。



「うっせぇな。 なんだよ」


「なんか変な奴が来ました!」


「あ?」



ゼロさんが立ち上がる。

その瞬間、 指先にあったのは小さなナイフだった。


・・・・・ナイフ! ?



「ひぃさしぶりー」



いつの間にか。

ほんといつの間にか、だ。


わたしの隣には変な奴がいた。



「んんんんん!??」


「ディアブロお。 いい女つれてんねぇ。 へっへへ。 ひとりくれぇ寄越せよぉ」



そいつは、すごい目立つ格好をしてた。


頭は緑とか赤とか青とか…。 顔はタトゥーだらけで、 ピアスだらけで。服装は、これまた黄色とかピンクとか原色だらけ。


とにかく目立つ。 目が痛い。



「とくにそっちの尻尾。 イイいなあ」


「ねぇ。あれ知り合い? 幻術はっといたからさ。殺していい?」


「...... あー...。 殺すな。 あれは情報屋だ」



情報屋! ??

ゼロさんがため息をつく。 がくっと項垂れたと思ったら、ゼロさんまでいつの間にか目の前にいた。



「挨拶に刃物とはマナーがなってねぇな。 度が過ぎると殺すぞ」


「会って第一声に殺すとか言う奴がねえ。 マナーとか言うもんじゃないよぉ。 あと、 あいは何でも屋だよぉ」



何でも屋カロル。


それがこの人の名前ならしい。



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