06
銀さんとクガネ、ルピと別れ、 わたしとゼロさんとリオでルナティクスに向かう。
ルナは先に労働力 確保のためにどっか行っちゃった。
「銀。クロを何とかしろ。早く」
「わかってる。 こいつは仕事ができるからな」
クロちゃん。ゆっくり休んで。
なるべくゆっくりと。
この二人容赦ないからさ。 起きるべき時に起きてね。 無理しないでね。
「エデンの書斎まで転送する。 ゼロ、 今回はこの森のマナを利用するから以前のようなことはしなくていい」
「頼まれてもやらねーよ」
「では、街を頼む」
そして景色はぱつっと消えて、ぱっと現れた。
あまりにも荒んだ、ぼろぼろの書斎が。
めっちゃ埃っぽい。
「・・・・・・ 荒れすぎじゃない?」
「だな」
「銀さんの書斎なのに?」
「あいつここに使ってたカ、 ほんとに全部消してんな」
確かにどこを見ても、魔石も魔法陣もない。 あの超便利な転移魔法陣もないのだろう。
じゃあ、あの非常口代わりの開かずの扉を使うときがきたってことか。
「いや、 天井突き破る」
「ど派手な登場ですね」
「もうこの建物も作り直しちまえばいいだろ。一度滅んだ街の遺産なんかいらねぇ」
ふんと鼻を鳴らすゼロさん。
いつの間にか肩の剣がとんとんいってる。
やる気満々だ。
「ゼロ。だめだって。闇でバレる」
「だから狐。 見えねぇように宜しくな」
リオは九尾のティナの所有者。 幻術や炎を操るし、天候まで操ったりする超万能能力者だ。 だから頼まれごとも多いんだけど... ゼロさんに頼まれるのは慣れてないらしい。
リオさんや。 顔が真っ赤ですぜ。
「よ、よし。 ゼ!?」
リオが言い終わらないうちに、 わたしとリオは抱えられる。
ああー、なんだか懐かしいなー。 このかんじ。
そして、剣じゃなくて拳で天井を貫いた。 それはもう、火山が爆発したかのような爆音をたてて。
なんで剣抜いてたのさ。使わないじゃん。
「ん……。 いまいちだな」
「いまいちですか」
「力加減がうまくいかねぇわ」
「いや、ちょ、ゼロ?降ろし……!!?」
「次はもう少し力いれてみるか」
そしてまたも爆発音。
バッカーーン!!
これも周りに聞こえてないんだから、リオの力ってすごいよね。
「というかイーリス! 慣れすぎでしょ!!」
「なつかしさすら感じます」
「そんな無理! ちょ、ゼ! あばれっ!?」
「舌噛むから黙ってろよ」
そしてゼロさんは破壊活動を繰り返した。
3か月分の破壊衝動でコレなら安いもんだって、 本人は言いましたが、わたしはそうは思いません。 だって意識なくなってたんだから、衝動が溜まってる訳でもないはずだし。
「……というかリオの力で見えなくするなら、扉通ってもよかったよね?」
「ストレス発散」
だそうです。