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破壊の魔王  作者: Karionette
アガド攻略編 第六章 終結
173/339

01



暫くあけるとかいいましたが


嘘でした。すみません…(><)




あれから、暫く経った。


アガド牢獄は壊滅し、建物はおろかそこの大地さえも壊れ、巨大な孤島は海に沈んだ。


同時に犯罪者や、あの牢獄で生きてきた猛者たちが地上に出ることで、ルナティクスの一件で荒れ始めている世界に拍車をかける形になった。

そのために軍備も増え、一般市民さえ戦闘術を学び始めるようになっているらしい。


特にアガドルークはその傾向が強く、集団に襲われ燃えた村や、家や財産を失い餓死する人間が増えた。

国の荒れ様はひどく、罪人と軍や国が戦争する日常。国から人は離れ、国は力を失い、5つの国のバランスが崩れ始めていた。


首謀者は闇の帝王ゼロ。

あの崩壊で、死んだということになってる。



「……」



そしてゼロさん。生きてはいるものの未だに目を覚まさない。


あれから既に3か月。

シルバの守る森の中でクロちゃんと一緒に静かに眠っている。



「いやー、ほんとさ。僕に頼みごとしといて本人寝てるってさ、どうなんだろうね」


「いいじゃねぇか!悪戯でもなんでもし放題だぜ!!」



お分かりいただけるだろうか。

この二人、いや一人と一匹なんだけど、彼らが今日訪れてきた。


魔物であるスターと、自称怪盗のヤマト。

波乱のはじまりだ。



「ふむ。貴様とんでもなく弱い魔物よの。侵入された気がせんかった」


「ちょちょちょちょ。この嬢ちゃんなんだい!?めっちゃ失礼」


「この森の主だよ、スター」


「たっはー!!すげぇ!人間に変身できる魔物なんているのかよ!」



カラスがたっはー!ってしてる。翼を頭につけて。

なんかシルバよりも人間らしい魔物だよね。スターって。



「相棒。それよりどうする?依頼の品、これじゃ渡せないよね。元の場所に返す?」



ヤマトは残念な自称怪盗。怪盗であることにものすっごくこだわりがある変な人だ。


盗みの腕事態はピカイチならしいんだけど、諸々と残念なところが多い。



「なに盗んできたの?」


「えっとね。絵画集」


「絵画?」


「なんか、同じ作家が描いた絵を集めろって言われてさ。いや、すっごい大変だったけどいい仕事はできたよ」



そうしてバラバラと置いたのは、額にも入っていないし、もはやデッサンのような適当な絵。

サインもなければ画材だって一定じゃない。

これでどうやって同じ作家のものってわかるんだろう。



「慣れだね。イーリスも良いものを眺めているとわかるようになる。怪盗だから、良い物悪い物、偽物にパクリ作品。全部見極めれないとね」



そういうものか。

ただ…描かれているものは人の死体ばかりで、とんでもなくえげつない物もある。



「画家は名前も有名じゃない。売り出しもしてなかったし、単なる趣味だったみたい。

一部の頭おかしい連中とか、ちょっとやばめのあくどい奴とかが持っててさ。子供も大人もこんなにばらばらにされた絵のなにがいいんだか」



一枚一枚、眺めてみる。


ゼロさんがアガドで画家を探している話は聞いた。その理由も知ってる。


そして、銀さんはシルクがその画家だったんだろうって予想してた。

銀さんの予想はこうだ。


シルクはアガド牢獄へ落とされたんじゃなくて、わざと来た。


そこでアビスシードを研究または作成していた。

落とされる前から現在に至るまで、所属はアルテマという組織。

組織は何らかの理由でアビスシードを求めていたのだろう、と。


ゼロさんはわたしのために、アビスシードをこれ以上生まないために、そしてシルクを殺すために、アガド牢獄を全壊させるという暴挙に出た。


理解できないところは多少あるがな、と銀さんは顎に手を添えて考えていた。



「…数字?」


「ん?」


「この死体、みんな数字とか字とか、ふってあるなって」



場所も違うし、大きさも形も違う。

入れ墨か傷か。わからないけど。



「ははーん」



スターが探偵のように顎に翼を当てる。カラスに顎ってあるのか疑問だけど。



「こいつら家畜だな!」



ものすごく酷いことを言うじゃん。



「豚とか牛とかにこんな感じで印つけてる人間がいたぜ!逃げたりしたらわかるようにってな!

人間てのは動物やオレ様らにひでえことするけど、人間同士でもこんなことするんだからやべぇよな!」



その人間の中でも盗人って犯罪者だからやべぇけどね。

そしてその家畜を美味しく料理するのがわたしだから、なんか、何とも言えませんね。



「ま、起きたら渡してくれる?僕たちは次の遊びが待ってるから」


「遊びって…また盗み?」


「「当然」」



だめだ。この怪盗。



「じゃあ、イーリス。またね。そんな…そんな気落ちした顔しないでさ。もう少し待ってやりなよ」


「うん。ありがとう、ヤマト」



そしてヤマトはスターの唯一の能力、飛翔能力を使って飛んで行ってしまった。


ほんと、なんなんだろう。あの二人。



「あの小僧はいつ起きるのだろうな」



飛び立つヤマトを見送りながら、シルバはため息をついた。



「どう、だろうね。銀さんは何度も死んで生き返ってを繰り返した状態だって言ってたし、ちょっと休んだくらいじゃ治らないよ」


「ふむ。しかしそれにしても時がかかるものだな。そこまで軟弱でもなかろうに…」


「ゼロさんは頑張りすぎたんだよ」



いつも怪我して、治って、また怪我して、死にかけて。

ゼロさんはそんなのばっかりだ。

本当に、よくティナ堕ちもせずに……り


今くらい休んだって駄目じゃないはずだ。



「いや、もう限界だな」



音もなく現れた銀さん。びくっと体をすくめるシルバ。



「傷は治った。体力も魔力も問題ない。それでも眠るというならたたき起こす」



おっと。

銀さんのストレス値が半端ないらしい。

刀抜いてるところなんて初めて見たんですけど。

しかもそれゼロさんのですよね?



「死ぬ間際になれば起きるだろう」


「ちょ、銀さん銀さん」



刀を振りかぶらないで。



「私の殺意を感じて正気を保てた者はこれまでにいない」


「いや、それなら起きないじゃん。そのまま眠っちゃうよ」


「知らん」



銀さーん!!!?


どうしたの?ルナティクスのことも一人で頑張ってるからだめになっちゃった?

でもリオがサポートしてくれるもんね!そこまで大変じゃない…のか、わかんないけどさ!



「おお、ならば銀龍よ。試してみるか?」


「あ?」



銀さん、ゼロさん化してますよ。



「儂の…いや、この森の試練に小僧を放り込む。あれは肉体ではなく、精神に関与するもの。

生きておる者ならば誰でも受けることができるぞ」


「ほう」


「魔物となった際にいちいち暴れられては森が壊れるからな。精神世界で存分に力を使ってもらうのよ。もし小僧が精神までも死んでいるならば、云わば、現状況が生ける屍の状態ならば受けることもできぬがな」


「リスクはあるのか」


「うむ。敗北するなら死ぬ。それだけよ」



……。



「わかった。受けさせろ」


「え!?いいの!?死んじゃうかもしれないんでしょ!?」


「試練は一人で受けるのか?」



聴いてくださいよ。



「複数では受けれぬ。受ける者はその肉体を泉に沈ませるだけでよい」


「そうか」



銀さんは今にも泉に放り込みそうだ。

銀さんのイメージが変わりそう。


…いや、試練って何があるか知らないけどだめでしょ!

勝手にやって、勝手に死ぬかもしれないとか。ダメすぎてどうすれば…。


ざっぱーーーーん



「沈めたぞ。あとは任せた」


「銀さーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!」



思いっきり叫んでも時すでに遅く、ゼロさんの姿は泉の波紋に紛れて見えなくなっていた。




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