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破壊の魔王  作者: Karionette
アガド攻略編 第五章 アガド牢獄
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なぜ。



『時間がねぇから、手短に話す。アガド牢獄、恐れ入った。降参だ』



なぜ、奴が言葉を話している?


なぜ、アガド牢獄全域に、あの場所から通信室まで移動するなんて不可能だ。



『まぁ、それでも…俺は投了はしない。逃げるみたいで、気持ち悪い。でも、周りが言うほど、俺は全能じゃなくて、俺にできることって結構限られててな』



見張りはどうした?あれも実力者だぞ!ぼくが任せるくらいの力がある。


剣の腕も、魔法の腕も星がつくほどだ。それにぼくの術式をどうやって解いた?

鎖も特殊性だ。吸魔石だって使ってる。

誰かがいないと、あれから抜け出すことはできない。



『俺は、破壊しかできねぇ。だから盛大な幕引きとして、このアガド牢獄を破壊する』



そして、あの状態で何でそんなことができると言うんだ!



『看守ども。ご苦労だったが、解散して逃げた方がいい。

俺の付近に、俺が破壊する前に辿り着けるほど近くにいるやつはいない。

たとえ辿り着けたとして、一人二人なら即座に殺すぞ。


で、囚人ども。お前らは災難だが、ここがぶっ壊れたら、お前らは海の底だ。適当にがんばれ』



まずい。急いで戻らなければ。

あれはぼくの知らないコード:ゼロだ。

コード:ゼロは、あんなに言葉に力がない。


唱える言葉がハッタリだと一ミリも思わない。

そんな言葉を出したりはしなかった。


あれは、いったい()だ。知らない。ぼくは、アレを知らない‼



『……クソガキ』



生きているのが不思議なあの傷で、なぜここまで力強い。

喋れてることが奇跡だ。

ティナの弱点をついた。

そうじゃなくても死ねるほどやった。一言も話す体力は残してない。


生きるのが精いっぱい…心臓を動かすだけしか力は残さないようにしたはず。



『そっちはどうなってるか知らねぇが、お前の近くにいる奴らなら、海底から助けてくれるだろ。外に出て、楽しんで暮らせ』



だめだ。これ以上、こいつに話させるわけにはいかない。


急いで元の場所に戻らなければ。あの男を、封じなければ。



『お前はこの場所に縛られてるんだとよ。ある青い髪のクソガキがそう言ってた。


だろうな。お前は今日のために生きたようなもんだ。簡単に捨てろっていう方が無理がある。


捨てないといけない状況でも、そう簡単にはいかねぇだろ。俺じゃあるまいし。


だから、考えさせるのも、それを待つのもめんどくせぇし、俺が壊す。もうお前を縛るものなんてねぇよ』


「何を言ってる!やめろ!!」



扉をくぐる。

しかし、ぼくは声を発しているのに声が聞こえない。


どういう魔法だ?いや、魔法じゃない。この部屋は特殊に作った。魔法は選ばれた人間しか使えない。



「~~~~~~っっまたお前か!カーバンクル!!」



ひび割れた赤い石を光らせながら、牙をむいて睨む黒いイタチ。


赤い血が滴る体を4つ足で踏ん張って、生意気にも威嚇をしているよ。


そして、その奥には血まみれの体から黒い液体のような魔力を流しながら、男は改造された通信機を片手にニヤリと笑った。



『これが俺のやり方で、俺にできる守り方だ。じゃあな、自由に生きろ。最後の花火を存分に楽しめ』



その瞬間、男の姿は消えた。

いや、ぼくがここから消えたのだ。


ガラガラと崩れる天井、無くなっていく足場。悲鳴、悲鳴、悲鳴ーーーー。



「お前は、また…同じことをするのか!!!」



足元が砕ける。本を開き、杖を振り、対処するも間に合わない。岩が頭に直撃し、どろりと血が流れた。


どうすればいい。どうすればぼくは生き残れる。


兄さんのようになるわけにはいかない。同じことで、同じように殺されてなるものか。



「絶対に許さないぞ、闇の帝王ゼロ…必ず、必ずぼくが手に入れてやる!お前の全てを奪ってやる!死んでも許してやるもんか!!」



ぼくは埃と血で染まった汚い景色の中、人と瓦礫が堕ちるなかでそう叫んだ。




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