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破壊の魔王  作者: Karionette
アガド攻略編 第五章 アガド牢獄
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「よし。ここが、最後か」



よろける体を壁に預け、手近なもので扉を封鎖する。


さすがに遊びすぎた。というか遊びに来た奴が多すぎた。

どいつもこいつも手柄のために命張りすぎだろ。ジジイ共が来る前に、切り上げれてよかった。


あー…消耗が激しいな。敵を一括で処理できたとはいえ、さすがに力も使いすぎたか。



「…ま。とりあえず目的地にはこれたからいいいとするか」



ここは資料室。機密情報の保管場所だ。


魔石という情報流出の可能性があるものには記録せず、貴重な紙に記入し保管しているところだ。


さすがに警備も厳しかった。罠だとかカギだとかも強固だったが、破壊属性を持つ俺にはさほど問題ではない。


問題といえば、この量だ。


事件やら犯罪者のデータ。重要なものだけとはいえ、もちろん子供関係以外もある。量は、この国が成り立ってから現在までと考えれば……。


無理。

とりあえず一服。



「つっても、やるしかねぇけどな」



持ち出して後からじっくり読めればそれが一番だが、馬鹿みたいにある薄っぺらい紙を戦場で持ち運べるわけがない。それにこういうのは大抵持ち出したら自動発火する。ということは、この量をここで覚えるしかない。



「……めんどくせ」



適当に紙束を掴み、ばらばらとめくっていく。

興味がわかなくもない犯罪記録や、もみ消された記録がずらずらと。だが、今はいい。とりあえずは子供関係のみ。


まぁ、それでも、さすがはアガドルーク。

被害者が子供の事件だけでも腐るほどある。


俺の脳みそが天才でよかった。こんなもん今から読むなんて不可能だが、人間は一度見たものは忘れない。あとから思い出してから読んで、あとは銀に任せればいい。


資料をばらばらとめくって、次に移り、またばらばらとめくる。


眼だけを動かし、脳に叩き込みながら辺りの気配に注意を払う。



「…は?アビスシード?」



なぜここにアビスシードの記述が含まれる?犯罪記録の中の、重要な情報のなかに。


ここにあるのはあくまで犯罪関係の記録であって、投獄された罪人の子供の話ではないはずだ。


アビスシードは、投獄された罪人同士で生まれた子供であって、外の世界の子供とは関係ない。


いや、そう言われているだけか。俺も真実は知らない。

記述はある誘拐犯の一言。


アビスシードのためだ


錯乱した様子で牢獄に廃棄される予定だったが、獄中で謎の死亡。


誘拐された子供は6人。全員死体で発見。アビスシードとの関連性は見られなかった。



「アビスシードは、存在しているかしていないかも不明な存在」



そのために誘拐事件が起きた。

そしてその子供は、何をするためかも不明だが死体で発見。

それが供述通り架空の存在であるアビスシードのためというならば、調査が必要。

資料はそう締めくくられていた。


資料をめくり、投げ捨て、頭に叩き込む。


頭をかけめぐる記録には、他にアビスシードという記述も、ましてやアルテマという記述もない。再発する事件ではなかったということだ。


再発しないならば、アビスシードに対して国が動くこともないと考えていい。



「子供が誘拐されて、死んで、犯人はアビスシートのためと言ったが、実際何をしたのかは不明。子供に何が起きたのかも不明。犯人が何故獄中死したのかも、不明」



わからねぇことだらけかよ。使えねぇな、アガドの人間は。


……よし、整理しよう。


アルテマはアガドルークで子供を集めてる。


実際に動いているのはアルテマに依頼されたやつで、前の暗殺者のように簡単に処理できる誰かだ。

アルテマは、アルテマという名前を極力ださない。おそらくは個人での依頼や取引によるものだろう。


今回のアビスシードのためと発言した誘拐犯も、そのアルテマに雇われた奴だとする。


こいつを捕らえるときにでた被害から見ても、まぁ弱くはなさそうだ。そっち方面で優秀だったと言っていい。


そいつがアビスシードとわざわざ発言したということは、雇用主が信頼をおいた駒に情報を流した。またはコイツ自身が聞き出した。


すべて仮定だが、これが成立するならアビスシードとアルテマが繋がる。


いや、仮定とはいえ、アガドルークとアルテマに関連があるなら、アビスシードとアルテマに関連があってもおかしくない。

そして、この場所。アガド牢獄とも。



「アルテマの人間、指示をした人物。こいつはここにいる可能性が高い…」



それなら永遠に閉じ込めることも、殺すことも、捨てさせることもできる。


子供の誘拐だって簡単な仕事じゃない。それを行えるプロも、リサイクルできるならそれが一番だ。


となると例の絵かき。

あれは捨てられたと聞いた。

それすらもアルテマが操作したとするなら、一度死んだことにして世に出ている可能性が高い。


絵描きはあの白髪のガキの絵を描いた人物だ。

あんだけ秘匿を貫く組織が、何故ガキを描かせたのか。一般人の手に渡る可能性があるものを作って何がいいか。

そんな危険なことをアルテマの、身分もない奴に許可するか。いや、それはない。メリットがない。


ということは、アルテマのなかでも絵描きは上の立場の者か、上の立場に依頼された者ということになる。


趣味か何らかの記録かは知らないが、そうでないとアレは描けない。


そんなやつが、捨てられた。


絵のみが必要で、絵が手に入った末には不要になったから。知りすぎたから。

いや、それなら捨てることはない。即座に首をとばす。

アルテマとアガド牢獄に関連があるから、"不明の死亡"は自由だろう。


なら、なぜ落としたか。


殺す必要はないから。

利用するため。

あの場所に当人を向かわせるため。


あの場所にはなにがある?


子供だ。特殊な子ども。イリスのような、アビスシード。


死ぬリスクを犯すほどか…いや、リスクはない。


魔力を失わなければ、あの場では問題はない。そしてすぐに出ることができるなら飢えて死ぬこともない。多少の戦闘能力があるなら生き抜けるだろう。



「………」



アルテマは子供を欲しがっている。

ガーゴイルからの情報だ。


そして、アルテマに雇われた誘拐犯はアビスシートのためと発言した。


アルテマに関わる絵かきはアビスシードのいる牢獄に捨てられた。



「絵描きは、アルテマの上の人間。アビスシードのいる場所に()()()。」



アビスシード。

毒も効かず、魔法も効かず、身体能力は高く、未知数な力を持つとされる。


罪人同士にできた子供。

人を食う人間がいるなかで、目も見えない赤子が生きていけるか。ほぼ、ない。


それが、俺が知る限りでイリス含めて3人。それは多すぎるんじゃないか。


理由は簡単だ。

アガド牢獄にいる子供は、外から連れてこられているから。

アルテマの手下が誘拐し、獄中にいるアルテマが手引きしているから。


だが、アビスシードはまだ架空だ。

完成されていない。だから誘拐も続く。



「アルテマの目的は、アビスシードと、その完成」



資料を投げ捨てた。


クソが。

そんな仮説が立つ中、俺は誰を連れてきた。



「あれ?きづいちゃった?」



そこにいたのは、小さな子供だった。

魔力の欠片もない子供で、青い髪をした少年。



「久しぶりだね。ぼくを覚えてる?」



それはイリスが、「シルク」と呼んでいたガキと同じ特徴をしていた。





予約投稿忘れてました…(><)

申し訳ありません!


明日も投稿します

奇数日投稿にしたいので^^*

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