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破壊の魔王  作者: Karionette
アガド攻略編 第五章 アガド牢獄
155/340

07




壁が吹き飛ぶ。


勢いで床もめくれ上がり、爆発したかのような音をたてて勢いは止まった。


がれきの山から出てきたのは、ゼロだ。



「この程度か!破壊の化身が!!!」



太い声が響き、石の礫が降り注ぐ。ゼロは翼を盾にしそれを防いだ。


防ぎきれなかった一撃は衝撃のみ与え、口元からは一線の血が伝った。



「土くれが。いい、加減にしろよ!」



凄みある顔で口の端をつり上げるゼロ。砕けた腕をだらりと垂らし、刃こぼれしたハルバードを捨てる。


ゴキゴキと拳からは音が鳴った。



「ケルベロスといい、お前といい。なんでここは門番が好きかねぇ」



ゼロの前に立つのは、高さ5メートルはあるであろうゴーレム。ゴーレムのティナ持ちだ。


異常に発達した石の体は武器を通さず、破壊の闇も、全てを破壊するには至らない。


スピードこそないものの、一度でも直撃すれば体が破裂しかねない剛腕と、何をも通さない体がゼロの攻撃の手を止めていた。


血を吐きながらゼロは舌打ちをする。額からは血がつたった。



「なんと幸運よ!かの大悪魔とこうして拳を交えることができ、これに勝る喜びはないわ!!」


「そうかよ」


「この身がティナに呑まれる前に、貴様を叩き潰す!!!」



振り抜かれた拳は床を割り、衝撃波を放つ。身を返して避けたゼロは、硬質化した拳でその腕を穿った。が、ヒビが走るもその場ですぐに塞がっていく。



「最近回復力特化が多すぎねぇか?」


「このティナはその頂点に君臨する!!」



剛腕は、さらに速度を速めて壁や床を砕いていく。重量感に比例しない速さのそれは、この建物そのものをも壊さんばかりの威力だった。


ゼロはその威力、魔力の動き、相手の連携技。それを見極め判断を下し、もう一度舌打ちをする。

紙一枚で拳を避け、その威力を利用して攻撃の軌道を操り、ゴーレムを壁に突っ込ませた。


しかし石の体にダメージはなく、その巨体では倒れることもない。



「この程度か!!」


「これでいいんだよ」



ゼロの目的は体勢を崩すことだった。一瞬で相手の視界の外に出て、一気に力を開放する。


視界は脈打ち、闇が暴れるようだ。



強欲(マモン)



ゴーレムの後ろ首が締まる。視界外で起きている出来事に彼は理解ができなかった。


人の体の大きさと変わらない悪魔が、どうやって己の頸を絞めるというのか。


覚醒状態になったゼロは、巨大化させた爪で相手を締め上げる。

それを行わさせない石の肌の性質は破壊し、人肌と同じとは言えないが、いくらか首を絞めるということができる肉にはなった。


ゼロは前方に闇を放つ。


壁を破壊し、ゼロはそのままゴーレムを引きずるようにして進む。


ティナを所有してから、味わったことのない酸素の吸えない苦しみと血流の止まる感覚で、ゴーレムは抗うほどの力はなかった。


ゼロはにやりと笑う。目下には広い海が広がっていた。



「お前みたいな体力バカは首絞めたところで、落とすには時間がかかりそうだな」


「き、貴様!!正々堂々と戦、え!!!」


「俺だって不本意だよ。お前を破壊するには力が足りねぇ」



今はな、とゼロは付け加える。

そしてティナの膂力すべてを用いて、投げ飛ばした。



「お、おのれぇえええええええ!!!」



ゼロはそれを見送ることもなく、たばこに火をつけながら目的の部屋に入る。どっかりと深く椅子に座り、覚醒状態となった体を戻しながら大きくため息をついた。



「めんどくせぇなぁ…」



ゆらぐ煙のなかでゼロは一言つぶやいた。




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