01
アガド牢獄はアガドルークの国内にはあるが、場所事態は島の上だ。
それを結ぶ橋が、これから狐が守る場所になる。さっき俺が街ごと派手にぶっ壊したけど、どうせ再生してるだろう。
金属や土を操る魔法で、橋のひとつやふたつ、すぐにどうとでもなるからな。
まぁ、狐に任せとけば誰でも通れるフリーな場所にはならねぇだろ。たぶん。
それにしてもこの場所は前にも思ったが、要塞みたいだな。
牢獄のくせに城より頑丈で警備も厳重。
見た目を全く気にしてないせいで、呪われていそうな雰囲気だ。死人の数も桁違いだし、呪われていないわけではないか。
こうしてまっすぐ入口から入るのは初めてだが、俺は牢獄に向かうことはない。
牢獄はイリス出身場所も含めて、全て地下にあるが、用があるのは上だ。とにかくあいつらと逆方面に進む。
「めんどくせ。長い階段だな」
上はどんな警備がされているかは知らねぇが、ここはアガドで一番厳重な建物で要でもある。
ある意味、どんな街よりも城よりも国にとっては価値がある場所だ。
どんなものがあるか。まぁ楽しんでいくとしよう。
「や、闇の帝王ゼロ…」
「本物だ」
前より人数は多いし、確かに武器もそろってる。あー、しかも…ティナ持ちもいるか。骨が折れそうだな、これは。
「情報を奪りに来た」
パフォーマンス。
闇を無駄に振りまき、剣を肩に、腰の刀に手を添える。
あとは…床でも踏み割っとくか。
「こっから先、目に付くやつは皆殺しにする。命が惜しいやつは部屋の隅で震えてな」
既に震えてる兵たちに俺は念押しをしておく。
おーおー、びびってる。
予期していたとしても、俺を相手する覚悟なんて一生つかねぇもんな、雑兵ごときじゃ。だからといって命令に違反する勇気もないとは哀れな奴らだ。
さて、はじめよう。
ぐだぐだしてる暇はない。
俺は闇を人の群れへと放つ。敵の暴発したような魔法攻撃はクロがシールドで防いだ。
「別にいらねぇよ。その程度」
「きぅ」
人の死体の上を俺はゆっくりと歩いて進んだ。
目に付く奴全て、魔力を持つ者すべて、今回は邪魔者だ。
殺す理由はそれで充分だろう。
「あーあ。とんでもねぇ犯罪歴がつくなぁ」
俺はまだ幼い兵士の頭を踏み潰しながら、そうつぶやいた。