表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
破壊の魔王  作者: Karionette
アガド攻略編 第三章 崩れる
138/340

06



「ゼロ!」



周りの景色は、前に見たのと同じ森だ。綺麗な空気に静かで少し重い霧がかかった森。


前とは違うのは、今その景色が壊れようとしていることだ。



「クガネ!シルバを呼べ!魔物を近寄らせるなと伝えろ!」


「わわわかった!!」



クガネが走り出す。その反対側へゴルドも走っていった。魔物たちに伝えに行くんだ。


わたしは何もできなかった。

ゼロさんに近づくことも、近づいたところで何をすることもできない。

闇が広がって地面や木々を破壊し、その中心でゼロさんが苦悶の表情を浮かべている。それを眺めているだけだ。


ティナの暴走?いや、違う。


あの時はゼロさんは荒れるティナを魔力で抑えようとして、それができなくて自分もろとも破壊していた。


でも、今は溢れ返っている。

溢れたものが勝手に暴れている。まるでゼロさんから何かが零れたみたいだ。



「お前…何故私に言わなかった!」



銀さんが珍しく大声を張るも、ゼロさんはだらだらと汗を流しながら笑うだけだ。


なにが、なにがおきてるんだろう。

ゼロさんは何をしたんだろう。



「ふむ。大方純粋なる魔力を要したのだろうが、貴様にはそれほどの魔力が既になかったというわけか」


「シルバ!」



音もなくそこにいたのは、白髪の少女の姿をしたシルバだ。


ゼロさんのように口の端をつり上げて、腕を組む姿は少女には全く見えない。



「銀龍殿は魔力を知れるわけではない。龍の姿ならばともかく、その仮の姿では貴様のように見れるわけでもあるまい。


龍とは魔力と無縁の生き物。


想定よりも貴様に残された魔力は少なかった。覇力に呑みこまれてしまって。そうだろう、悪魔よ」


「……ククク。よく、しゃべる、蛇だな。お前は」



銀さんの想定より、ゼロさんの魔力が足りなかった。


だから、ゼロさんはこんなことをした。

いったい何を…。



「人間のように喉から発声するのも慣れてきてな。言葉はなかなか面白い。

して、その禍々しい物はなんだ。儂に何の手土産を持ってきた?魔力量はすさまじいが…これは貴様のものか?」


「さぁ…。少し、念というか、感情というか。何かを、込めただけ、で。

まさか、今の俺にも、制御できない程の代物とはな。なんか、使ったらまずいのは、前からわかってたんだけどよ」


「ふぅむ」



シルバは顎に手を当て、人間のように悩むそぶりを見せる。表情は笑ったままだ。



「貴様は核を突き破り、獣が魔物になろうとしている時と同じような状態に見える。己の知らぬ魔力に踊らされ、貴様本来の魔力まで漏れ出ているようだ。さすがの貴様でも魔力が溢れるというのは初体験か」


「…うるせぇ」


「かっかっか。抑えると思うからうまくいかぬのだ。溢れるものを抑えるのにも、限界がくるものよ。滝壺におちる水が止めれぬように、激情から荒れた魔力を留めることはできぬ。


ならばどうするか。その溢れ出す魔力を食い散らせばよいだけの話。

暴れる力なぞ捨ててしまえ。

こい、儂が相手をしてやろう。貴様に務まればの話だがな」



闇が弾け飛ぶように散る。


そして全てがゼロさんの周りに集まり、幾多の魔物を殺したという刀に纏った。


始まりの合図も何もないままに、巨大な闇がシルバへと降りそそぎ、爆発音が鳴り響いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ