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破壊の魔王  作者: Karionette
アガド攻略編 第二章 旅
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16




『これはすごい。人間の欲の根源がこれか。人間という生物が栄える理由もわかる』


「すごいだろ!いーりすはすごいんだ!」


「がうがう!」


『よし。滞在を許す。小娘、次をよこせ』


「うん。いいんだけど、箸の使い方上手だね。大蛇さん」



目の前に奇妙な光景が写る。


まずは大蛇。はじまりの魔物とか言ってたが、いまやただの喰い盛りのクソガキだ。威光もなにもなく、出される料理にむしゃぶりついている。


で、その後ろのデカイ虎。こいつどこから仲間を呼んだんだよ。魔物だらけじゃねぇか、ここ。さすがにこの数は相手にするとなると骨が折れる。どいつもこいつも、食材持っておとなしくしてるから大丈夫だとは思うが。


で、クガネ。お前じゃれるな。魔物がへばってんじゃねぇかよ。


最後にイリス。お前の料理スキル万能すぎるだろ。再会してから料理の腕で切り抜けることばっかりじゃねぇか。



『クガネは貴様が拾ったのか』


「あ?」



白銀の髪の少女がばくばくと肉をかじりながら、すぐそばに座る。


目だけは蛇らしいそれだが、ぱっとみるとあの女を連想する。



「お前その姿いい加減やめろよ」


『ほう?脳裏にいた唯一の人間と思ったが、憎悪の対象だったか?』


「知るか。人の頭覗いたなら理由はわかるだろ」


『わかるが、わからんな。儂は記憶を覗くことはできても人の身の感情は知らんし、記憶も完全なものではない。魔物たる儂から言わせれば、くだらん固執に過ぎん。どうせ短い生ならば今を生きればよいものを』


「うるせぇ。黙って食ってろ」


『かかか。口の減らん奴よ。それで、話を戻そう。クガネは貴様が拾ったのか?』


「拾ったっつーか、魔物だと思ったらそうじゃねぇっぽいから、とりあえず捕獲して帰っただけだ」



魔物は手強い。俺宛てに討伐依頼がくることも別に珍しくない。


なにせ相手は獣が魔力を持った存在だ。魔法が使えるという人間の利点も、魔物が持っているもので、肉体的にも魔物の方が勝っているのだから、結局俺のようなティナ持ちに頼ることが多い。ティナ持ちなら、魔物の強打にも耐えることができるし、体力的にも競える程度はあるからだ。


本来なら、魔物の討伐はハンターギルドに依頼されるのが常だが、クガネのときは正体不明の魔物の討伐という内容だった。ギルドに依頼するには、特徴だとか性質だとかの情報が必要だが、今回はまったく情報がないためにギルドに断られ、結果連合経由で俺に回ってきた。


情報は、すばやいこと。すべて食い殺されていること。これだけだった。


で、見つけてみたら、人間の形をしているが人間じゃない。ティナ持ちでもない意味不明生物だったってわけだ。



『クガネは蠱毒だ。忌まわしき人間の欲望と好奇心が作った呪われた術の犠牲者よ』


「あー。銀もそんなこと言ってたな」


『クガネの身には、フェンリル、バジリスク、神獣白虎。少なくともその3方が宿っている。蠱毒にて何があったのかはわからんが、かの方々はクガネを生かすことに決めたのであろう。その命を儂は守ろうと思う。敬愛する彼らの忘れ形見としてな』


「只の蛇が何言ってんだか。具体的にどうするつもりだよ」


『さぁ、今からゆるりと考えようと思っての。ただ、貴様には礼をせねばならん。クガネを殺さずにいたこと、儂の前に連れてきたこと。感謝しよう』


「気持ち悪い」


『かかか。そう言うな。礼に情報をくれてやる』



音も立てずに立ち上がった白蛇は、その顔でその髪で、俺の前に立った。



『この姿をもつ人間。これは生きている。ずっと貴様を求めているようだ』



そして、白い髪の少女は泣きそうな顔で目を閉じた。



『…これと会えば遠からずして貴様は死ぬ。そしてこれは壊れ、貴様の守りたい者を殺す』



白蛇はそう言った。






9月です!

早くコロナ収束しないかなぁ…


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