08
「それで、どこ行くんだよ」
「さぁな」
夜。俺はハゲの工房から出た。
丁重にも見送ってくれるらしい。
「アルテマほど秘匿性の高い組織なら、ここまで嗅ぎまわってる俺をほっとくはずがねぇ。そろそろ、あっちからコンタクトがあるだろ。のんびりそれを待つ」
「つってもおめぇヘロヘロじゃねぇか」
「誰に言ってんだよ」
確かに全快ではない。いい感じに弱っても見えるだろう。
でもそうじゃねぇと、わざわざ俺に関わるような馬鹿な奴なんざいねぇからな。
「そんで、どのくらいだよ」
「あ?」
「ティナ持ちっつーのは、正気を失うんだろ?魔力が覇力に呑まれてよ。
残った魔力でもおめぇが異常な量なのは知ってるが、それ踏まえて何割進んでんだよ。どのくらい弱くなってんだよ」
「弱くはなってねぇし、ならねぇよ。たとえ魔力が全部覇力になろうが、能力が使えなくなるわけじゃねぇし、ティナ堕ちが進むにつれて身体は強くなるからな。技術はなくなるだろうけど」
「弱いだろ。それ」
「俺が堕ちたら剣士ごときじゃ手も出せねぇよ。指一本残ると思うなよ」
「破壊の権化か。少し面白そうだな」
馬鹿野郎が。剣も破壊されて、残った腕と体も消え失せるぞ。
「じゃあ。もう会わねぇかもしれねぇけど」
「ああ、かもな……って質問答えろって!!」
俺はそれには答えず飛び立つ。
もう一つの質問。何割進んでるか。
知るかよ。それがわかったらいつ堕ちるかも、何をしたら堕ちるかもわかるだろうが。そんな扱いやすい代物じゃねぇんだよ、ティナは。
サブタイトル破滅的
良いの思いつかない笑