ネガティヴを殺せ
昔ながらの畳には
色んな味が染み込んでいる
あの汚れ
あの焦げ跡
あの毛羽立ち
馬鹿みたいな思い出は
取り替えることも可能で
これまでの記憶は
これからの話に
置き換わっていく
湿り気のあるくらい
微量の水分で
畳を拭くと
すぐにカラカラになる
汚れなのか
嫌だった物なのか
俯いたままで
何も変わらなかった
捨てる前の掃除は
小さな足跡に
出会う日だ
悲しみはルールに則って
小さく丸めた
良かったことに打ちつけて
消していった
無くならない物なんてありはしない
一番大切な命だって
無くなるのだから
取り憑かれた人間に
成ってはいけないのだろう
悲しみを抱えることは
不幸を抱き締めているみたいだ
悲しみは踏み締めてこそ
人間は生きられる
なんで悲しみの方が
あなたの意思よりも大きいのさ
自分自身を馬鹿にするのも
大概にしろよ
弱いからです
駄目だからです
そんな言い訳を踏み抜いて
歩いている人が
誰かに何かを言われようと
気にせず歩いている
あの姿こそが
独り立ちだろう
金を稼ぐことだけが
独り立ちじゃない
それをいくつも持っているから
大人になるのだろう
振り返って
帰って来ない
反省者と自己批判者に
引きづられて
そのまま落ちることは無い
元の位置に帰って来るから
反省や批判を
受け取れたということだ
振り返りとは
そこまでやって
意味があること
同じ場所で
また
笑って会うべきだ
それを成長だとするには
浅いかもしれないが
それを一歩だとは
言い切ることが出来る