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「じゃあ後見人のブライト様は私に何をして欲しいので?」


「それなんですよねぇ……、実際まだ何1つ困っていませんし。下手に貴女を使っても足がつきそうです。公の場で言ってしまってますから。」


「足がつかなければ何がしたいですか?」


ちらりと見て、なんでしょうね?と聞き返される。これはまともに答える気がないんだろう。


「そうですね、そのうちわかるんじゃないですか?」


「そうだったらいいんですけど。まあ、毒飲んでも死ななさそうですよね。わかるまで長くても安心です」


「なんで今強調したんですか?」


「そのうちわかるんじゃないですか?」


「そうだったらいいんですが。それって私のことを馬鹿にしていますか?」


「まさか」


例えば、本当にその伝説の人達が本当に私と同じ3の力でそんな面白いお話をやってのけたのなら私もチートを喜んだかもしれない。

だってそんな特別感が人間誰しも大好きなんだから。私ももれなく大好き。読むのはちょっとトントン拍子すぎて遠慮することもあるけど、嫌いじゃないよ、爽快感あるし、気分いいし、安心して読めるし。

ただ今回の話からしてそんなお強い能力ではなさそうだから、あんまり関心がわかないわけで。


ぼうっとそんなことを考えていると、いつのまにか別のことについて話が始まっている。


「トーザから聞いたと思いますが、コトリの属性学の講座は私が持つんです。最初はここでやりますよ。」


改めて思うと、すごく嫌だ。教え方は本当に合っているとは思うんだけれど、なんだろう、人間性の問題だな。根に持つタイプの私とやることさっさとやるタイプのこの人だと私のイライラがすごいぞ。多分こいつもこいつで私にイラっとくることがあるんだろう。


「はい」


それで終わりかい。


こう言うしかないんだけど。全く、こんなことになってまだ何時間も経ってないっていうのにこの疲れ方は何だ。夏休みの進学補修を先生とマンツーマンでやった時を思い出すわ。いや私から頼んだんだわ、あれ。


書き終わったカードを取られて、その内の1枚を見せられる。読めってことかな。読み仮名もさっき書いたところだから、それを見たらいい。


「違います」


「直します」


書いてるうちに読み仮名教えてくれよ!さっきのチェックは形だけかい!まず今のも答えは教えてくれないし。メモを見てもう一度読む。今度は合ってた。


「できるなら最初からちゃんとしてください」


できてると思ってたの!


わかった、絶対こいつは国語の筆者の心情を考えて答えなさいパターンを意味ないじゃんとか思ってるんだ。お前みたいな無神経のためにあるんだと言いたくなる。


それを数回繰り返すと、最後だと言われたその瞬間鐘がなった。窓を見ると薄紫。達成感が込み上げてくる。よく頑張りました。


「今誰かがショウタとサキの所に回っていると思うんですが、夕食はどうしますか。私達と一緒にとりますか、個別に持って来させますか。」


「個別で。部屋に持って来てもらえるんですか。」


本当は2人とご飯してたい所だけど、ここで聞いた感じからすると咲ちゃんはまだしも中田君がな。さすがに仲間はずれはかわいそうだ。それにカレカノの時間も欲しいだろうし。私が突撃するのはこのタイミングではない、もっと後だ。楽しみにしていてほしい。


「メイドが食事の際は個別に付きますので。」


「えっ、嫌です」


習いたてのお勉強だぞ、ご飯中もちょっとくらいしたいでしょ。行儀が悪いけど、あれ、ちょっと勉強してる私感がでて楽しいんだ。覚えてるかどうかは別の話になってしまうけれど。


「そればっかりは慣れてください」


「今までの人達も全員そうやってきたんですか?」


「全員ではありません。ですが必要なことです。いつか公の場で食事をすることもあるかと思いますから、今のうちに人に見られながら食事をすることに慣れていただきたいんです。」


それに今までそういうことを拒んできたのは全員傭兵業についた男性達ばかりですよ。と言われる。男女差別か?こんなところで?喧嘩売ってらっしゃるなら買おうかな、でも理由っぽいのもちゃんと言われているから食事中のマナーについては目を瞑る。さすがに見られながらそんなお行儀の悪いことをする勇気はない。多分いる人来る人ほとんど初対面だから。


「ちゃんとコトリの能力について確認ができて安全だと思えて外に出て行くなら、その時からそれは無しにしますよ。」


なるほど、わかった、頑張る。


「後、マナーが完璧になれば定期的に確認するだけで結構です。」


めちゃくちゃに頑張ろう。


マナーについて気がつくことを言えば、ドアを開けっ放しにしているのもその1つなんだろう。トーザもしてた。男女関係を疑われないように、だっけ?


男女関係がここに比べて凄まじく爛れていた現代の私からすればなかなかやりにくい。厳格な感じがする。冷暖房逃げちゃうと思ってぴったり閉めちゃうかも。教室でも換気を嫌がって喚いた1人だという自覚はある。こっちだと一発アウトじゃないか。


「ドアがどうかしましたか?」


「随分重たいドアだったなぁ、と」


これは私の癖なのだが、どうでもいいことだと思えば思うほど別のくだらない話題に変えて話す。昔は直そうかと思ったが、その下らない話題が案外面白いことに気付いてからはあえて直さないようにしている。


「重たい木材で作られていますから」


「どうしてですか?」


「彫刻がしやすいんじゃないですかね。」


言い方からして真面目なふりした適当だ。いや、あっているのかどうか知らないけれど、明らかに教える気が見えない。


「なるほど。」


いや、木材の重い軽いで彫刻しやすいのかどうかは知らないのだけれど。確かに、ドアには花と何か文字が彫られている。読めない。


「もういいでしょう。そろそろ夕食ですからね、出ましょう。」


勉強をするとお腹が空く。たくさん話したからか、緊張でお腹が空かないなんて事態からは遠いらしい。

食堂とかキッチンが遠いのか、食事の匂いはしない。

広いからな、このお城。




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