アヴィルとレックス
『あはは、すっごいわかりやすいな…ルクスは』
レックス殿の声がした。
「ええ…でも目的がわかりません」
『ふうん?私は大体わかったよ?』
え?私はレックス殿の顔を見た。少し困ったような…でも怒っているような…。
『しかし、レインより可愛い子ねぇ?ふざけてんのかなぁ~。』
「ですよね、私も思いました」
レックス殿はレインを溺愛してる…見ていればわかる。
もちろん私も結婚するならレインとしか考えれない。それくらいレインの事が好きだ。
それなのにルクス殿はレインより可愛い子は沢山いると言い放った…人の婚約者の事をそんな風に言うなんて信じられない。
他の女をあてがおうとしているのか?しかし何の為に?
『まぁ、アヴィルはレインを捨てたりしないと思うんだけど?大丈夫だよね?』
は?レックス殿は何て事を言い出すんだ??
私は即答した。
「ありえませんね」
『あははは、だよねぇ~。うん、信じてるよ』
いつも飄々としている彼がなんだかいつもと違う…
「大丈夫ですか?」
『うん?あぁ、色々考えててね。ルクスはもしかしたらカイルとダリルにも何か言ってくるかもしれないけど…狙われるのは私かな…。』
まぁ、無理だろうけど…とレックス殿が呟いた。
「レックス殿が?」
『そう。精霊の力を奪う為に…ね。』
そうか…レックス殿は珍しい全属性持ちの精霊だ…。もしもレックス殿が帝国に捕まりでもしたら…。
『もちろんそんなことさせないけど…ディスタ帝国の精霊に関する研究が…どこまで私に通用するかなぁ』
精霊の研究…か。精霊の力を奪う…そんなことをしたら世界の均衡が保てなくなってしまうのではないのか?
『まぁなんにせよ。今すぐ仕掛けてくることは無いね。』
「だといいのですが…」
『…アヴィルが次期国王だと、広まれば動くかもね。』
「…どうでしょうね?そこは父上が決める事なので…」
もうしばらく…平和が続いてほしいなぁ…。
しかし、先ほどの資料でのディスタ帝国の侵略具合を見ると数年先には戦になるのかもしれない…。
「兄上…お茶をお持ちしましたが…何かありました??」
カイルがあれ?というような顔をして部屋に入ってきた。
「いや、なにも。ありがとう」
いつの間にかレックス殿がいなくなっていた…。
「カイル…お前は国王の座に興味はあるか?」
私はカイルに聞いてみた。
「ありませんね。俺には重すぎます…。なんでですか?」
「ん?いや。ちょっと聞いてみただけだよ」
おっと、カイルが不審に思ってしまったか…。
「私はもう17だ…父上はどうお考えなのかなぁと思っただけさ。」
「そうですか…俺は兄上が国王になられたらお側で仕えさせていただける様頑張りますよ」
「ははは、そうだな。私も頑張らなければな」
本当に私は国を背負っていけるのだろうか…。




