アヴィル・カーヴェルス
私は今悩んでいる。
これは、なにかの罠なのか…。
私の婚約者が可愛すぎる!!
「んん。レイン?どうしたんだ?」
「何がでしょうかアヴィル様?」
「い、いや。なんだかいつもより甘えてくれるなぁと…」
そう、レインは今私の膝の上に座り寄り添っている…普段の彼女なら絶対しない…これは夢なのか?
「…こんな私はお嫌いですか?」
レインは潤んだ瞳で私を見つめてくる…嫌なわけない!むしろ嬉しい!!
「そんな訳ないじゃないか。嬉しいよ…」
そう、嬉しい…が、何か腑に落ちないんだ。
私はさっきまでレックス殿と学園内の精霊達の事を話していた、それがひと段落したからレックス殿はレインのところに戻って行ったと思っていたんだが…レインだけが生徒会室に現れた。
「レイン、レックス殿には会ったかい?」
「レックス…ですか?」
レインはきょとんとしている。
「ああ、生徒会の仕事が終わったらサロンに行くって伝えてあったんだが…」
するとレインは…
「私は、アヴィル様と二人きりになりたかったんです…いけませんか?」
グフッ…なんて破壊力…いけないことはないです。もちろん大歓迎だ!
しかし…これはーー
「レイー…」
ガラッ
「あにう…」
あ、カイルが入ってきた…
「あっれー?お邪魔しちゃった?」
「…いや。」
大丈夫だ、と言おうとしたらー
「チッ」
「「!?」」
えっ?舌打ち?レインが??
「アヴィル様私、お先にサロンに行ってますね…」
スルリと私の膝から降りて去っていくレイン…えっ?えっ??カイルを見るとカイルも唖然としていた。
『ねぇ、アヴィル馬鹿なの?』
「!レックス殿っ」
『あれがレインなわけないじゃん…なんで次から次へと変なことが起こるかなぁ』
レックス殿は呆れた顔で私を見ていた。じゃあ、さっきのレインは一体誰だったんだー?
ーーーーーー
とりあえず、レックス殿とカイルと一緒にサロンに向かった。そこで見たものは…
え?私がいるーー?
「ねぇ、レイン。あーんして欲しいなぁ〜。」
ちょっと待て?お前誰だ?なんでレインにそんな事お願いしてるんだ?!
「兄上…固まってる場合ではないと思いますが?」
カイルに言われて正気に戻れた!
「あ、ああ。」
『大丈夫だよ。レインだもん』
レックス殿は問題ないと言った。私はレイン達に目を向けて様子を見ることにした。
「お兄様こんなところで大胆ですねー」
サナリア、それは私ではないよ…
「…。」
レインは無言だ…
「レイン?なんで怒ってるんだい?可愛い顔が台無しだよ?」
ちょっ、おまえ何言ってんだよ!レインは怒った顔も可愛いんだぞっ!!
「ふぅ…貴方は、私をどうしたいのですか?」
レイン?
「どうって?可愛い婚約者を虜にしたいのさ」
…トリコ?
「そうですか私は既にアヴィル様の虜ですよ?でもね、貴方はアヴィル様ではないでしょう?」
はえ?レインの言葉に私の顔は熱くなる…
「すっごい殺文句だわ〜。」
カイルが感心している…
『レインは甘えるのは下手だけど、心に決めたら一筋なんだよ?アヴィル…覚悟しなよ?』
「なんだよ…なんでバレてんだ?」
「分かりますよ。アヴィル様が私を見てくださる視線とは全然違いますもの」
チェッと、偽物の私が舌打ちをした。
『そこまでだよ』




