仮面舞踏会2
ゆったりとした曲が流れる中、私は知らない男とダンスをしていた…。
なんの罰ゲームなんだろう…そう思ってしまうのは仕方ないのと思うの。
アヴィル様とだったら…とても楽しめるのに…。やっぱり私はアヴィル様が好きなんだなぁ…。
「上の空ですねぇ」
「あ…ごめんなさい。」
そうよね、嫌々踊られるほうもいい気がしないわよね…。
「ふふふ、もうお嬢さんには心に決めた人がいるのかな?」
「えっ?」
不意にそんなことを言われて私は顔が熱くなるのを感じた。
「残念だ。もっと話をしたいと思っていたんだけどなぁ。」
男は肩を竦めた。
「しかし、本当にお嬢さんな様だね。何も知らないようだから教えてあげるね。この仮面舞踏会は…」
「!?」
ダンスが終わり男と別れ、私はすぐにレストルームに駆け込んだ。
ちょっと待って…これすごく参加しちゃ駄目な舞踏会じゃない!
さっきの男に聞いたことを思い出す…。
「…一夜限りの相手を求める場所だよ?お嬢さんにはまだ早いんじゃないかな?私が紳士でよかったねぇ」
サナリア様本当に知っててきたの??私たちまだ13歳だよ??
『あ、レインここにいたのか』
「レックス!!」
『あのさ。言いにくいんだけど…本当にこの舞踏会ってレイン来て大丈夫だったの??』
レックスがじっと私を見てきた…。
「大丈夫じゃないよ!!早く帰りたい…。」
私はもう涙目だ…。
『だよねぇ?サナリアも捕まえたからさ、もう帰ろう?』
――――――
仮面舞踏会からサナリア様と一緒に学園の寮に戻り、アヴィル様に報告した…。
「レイン!ほんっとうにごめんなさい!!!」
「レイン、私からも謝らせてくれ…本当にすまなかった…」
アヴィル様とサナリア様がすごい勢いで頭を下げてきた…。
「いえ、何もありませんでしたし…大丈夫です。」
『あの舞踏会はお子様にはだいぶはやいとおもうよ~?会場を見てまわった時すごいの見せられちゃったよ。サナリア…なんで招待状持ってたのさ?』
レックスはゲンナリしていた。一体何をみたの…?
「ええと…クラスの方がくださったの…その方も誰かからもらったそうなんですが…。」
『ふうん?クラスのねぇ…』
「しかし、そんな招待状を学園で受け取ったとなると…他にも行った者がいるかもしれないな。先生方にも報告しておかないと…」
アヴィル様は頭を抱えてしまった…。
『まぁ、サナリアもカリーナがとめなかったら危ないとこだったし…無事でよかったよ~』
『本当ですよ~。サナリアったら変なおじさんにからまれるんだもの~』
「気持ち悪かったよ~」
サナリア様もそれを思い出して涙目になっている…。
本当に何もなくてよかったわ。
「ところで、レイン」
「はい?なんでしょうか。アヴィル様」
不安そうにアヴィル様は私を見つめてきた。
「最初一人でいたといっていたが、何もなかったか?」
おおっと。何もなかったわけではないですが、ダンス踊っただけですし?
「ええと、私は紳士な方(?)とダンスを踊っただけです。その方が今回の舞踏会の意味をおしえてくださいました。ですから私はダンスをした後すぐにレストルームに逃げ込みました。そうしたらレックスが私をみつけてくれたのです。」
ですから、何もありませんでしたよ?
と、続けようとしたらアヴィル様が急に私の手を取り…男が触ったと思われるところに口付けを落としだした…
「は?あ、あの。アヴィル様??」
「…消毒。」
「あ、洗いましたから!大丈夫です!!」
私の顔はどんどん赤くなっていく…。やれやれ、とレックスの呆れた声がした。
私はしばらくアヴィル様に抱きしめられたまま動けなかった…。
「恥ずかしいけど…やっぱり私は、アヴィル様に抱きしめられるとホッとします…。」
ふと、私はそんなことを呟き…アヴィル様の胸に頬を摺り寄せた…。
「っ!レイン!!」
アヴィル様の抱きしめる力が強くなった…
「余所でやってよ!バカップル~!!私も早く恋人欲しいよ~!!」
サナリア様が叫んだ…




