仮面舞踏会1
望まなくても…時は流れる…
行きたくないなぁ~
「お嬢様。本当にこちらのドレスで行かれるのですか?」
メイドのコーラルが渋い顔をしている。
「…コーラル、私だってこんな恥ずかしいドレスだとは思わなかったわ…でも、サナリア様が用意してくださったものだから…」
着ないわけにはいかない…なんでこんなに胸のところが開いてるドレスなの??
「…お嬢様、くれぐれもお気をつけくださいね」
「え、ええ…。」
アヴィル様に頼まれたんじゃなければ本当に行かないわこんなの…。
――――――――
「レイーン!お待たせ!」
「ごきげんよう、サナリア様」
「やっぱり似合うねぇ~レイン色っぽい!」
「ありがとうございます。でも…私にはまだ早いと思いますが…」
サナリア様もだいぶ色っぽいドレスですね…本当に大丈夫なんでしょうか…。
「大丈夫だよ~レインはそれくらい色っぽいのいつも着ればいいのに~」
私はあいまいに笑い返すしかなかった…
「そうだ!舞踏会じゃぁ偽名でね!私のことはサナって呼んでね!」
「サナ…ですか?では…私はレイ…でいいでしょうか?」
ひねってすらないけど…大丈夫だよね?
「いいと思う~!楽しもうね~♪」
本当に大丈夫かなぁ…。サナリア様やけにテンション高いんですけど、そんなに楽しみだったのかしら。
会場に入るとしっとりとした音楽が流れていた…。
人は皆仮面をつけていてどこの誰だかなんてさっぱりわからない。
「じゃぁ、レイ。ここで分かれて終わるころに合流しましょうね♪」
「え?ちょ、ちょっとサナ…っ」
うそでしょう?まさかこのまま一人で??
サナリア様の姿はもう、見えなくなってしまった…
アヴィル様…ごめんなさい。サナリア様を止めることは私には難しいようです(泣)
「レックス…いる?」
私は心細くなりレックスに声をかけてみた…しかし返事がない…。
「カリーナ様…いらっしゃいますか?」
『は~い。レインさま~。もう、サナリアったら行動早すぎ~。レインさまを放って行くなんて~』
あ、カリーナ様はいらっしゃったのですね。
『本当にごめんなさいね~。私も後でサナリアにきつくいっておきます~。サナリアの事は私に任せてレインさまは楽しんでください~』
「わかりました。申し訳ないですが、よろしくお願いしますね…」
『はいは~い。レックスさまもすぐ戻ってくると思いますから~』
サナリア様に付き添いなんて必要だったのかしら…。
とりあえず、端っこにいましょう…。
――――――
「やぁ、可愛いお嬢さん♪私と一曲踊ってくれませんか?」
ぽんっと肩をたたかれた。
「え、ええと…。」
「さぁ、行こうか」
そういって男は私の手を取りダンスフロアへ向かった。
え?私返事してないんだけど…
私が戸惑っていると男は言った。
「おや?今日はダンスを誘われたら断れないようになっているんだよ?知らないはずはないよね?」
そうだったの?サナリア様何も言ってなかったけど…
「ごめんなさい、友人に誘われただけでして…」
「そうだったのか。まぁ、かと言って私も誘ったんだ、引くわけにはいかないかな。1曲でいいからよろしくね?」
「わかりました…」
「ふふふ、ありがとう」
そういって男は私の手を取りダンスフロアへ移動した…。




