その後…
「あ、あの…アヴィル様?そろそろ話してくださいませんか?」
「いやだ…」
なぜか私は、アヴィル様の膝に座っていて後ろから抱きしめられていた。
「こ、こそばゆいです…」
私が身をよじって抗議するとアヴィル様はさらに抱きしめる力を強くした…。
いや、本当に恥ずかしすぎるわこれ!!
「ふふふ、照れてる?レインはかわいいなぁ…」
耳元でささやかれると余計顔が熱くなってきた。
嬉しそうにアヴィル様は、ちゅっと耳元に口付けを落とした…
『レイン~もう、あきらめなよ~。しばらくアヴィルの好きなようにさせてあげたら~?』
レックスはそれくらいいいでしょ~って…それくらいって!
あぁ!もう…わたしって前世でも彼氏もいなかったのよ!なのにこんな事されたらどうしたらいいかわからないじゃない?
『だってねぇ…?アヴィルは自分が許せないんだよねぇ。レインのそばにいなかった事だいぶ後悔してるみたいだし~?』
私と一緒だもんね~とレックスは言った。アヴィル様はいまだに歓迎パーティーの事を気にしているようだ。
「無事だったんですし、もう気にしなくてもいいんですよ?傷だってもうどこにもありませんしね?」
「でも、私がもっと早く戻っていれば…」
バン!
勢いよく扉が開かれた…
「兄上、うじうじするなんてらしくないですね~」
「カイル!」
「カイル様…」
「やぁ、レイン嬢。相変わらず美しいね!そんなうじうじ兄上なんかやめて、やっぱり俺と仲良くしないかい?」
いつもの調子で話しかけてくるカイル様…
「カイル!」
アヴィル様がカイル様をにらみつける…目が本当に怖いんですが…。
「いやいや…兄上。そんなに余裕がないと本当に嫌われてしまいますよ?」
カイル様はやれやれ、と肩を竦めた。
『カイル~、大丈夫だ。レインはそんなアヴィルも可愛いと思ってるみたいだから』
ちょっ!レックスなにを!?
「え?マジ?」
カイル様が目を大きく開けて信じられない!という表情で私をみる。
「おかしいな…俺の知ってる情報では、結婚したくない男ベスト10に頼りない男がはいってたんだがなぁ…レイン嬢は違うのか」
カイル様それ何の雑誌ですかね?
『レインは少しヘタレが好きなんだ。わかるかカイル?ヘタレの奴は女の母性本能をくすぐるんだ…』
…私は何も言っていないのにレックスが勝手に話を進める。
「母性本能か…つまり兄上はレイン嬢にとって子供のように庇護するべき存在なのか…」
「ヘタレ…子供…」
アヴィル様が傷ついた子犬のような顔をして私を見てきた…いや、可愛いですがね?抱きしめてあげたくなりますがね?
待ってください。私何も言ってません!
「っぷ!!」
『あははは!アヴィル真に受けてんの~』
カイル様とレックスが同時に笑った。
「え?」
きょとんとするアヴィル様。
「アヴィル様…だまされないでください。彼らに遊ばれたんですよ。」
この人たち本当に人をおちょくるのがが大好きなんだから…




