歓迎パーティー5
「ん~おそいなぁ、兄上もレオンも」
ぽそっとダリル様が呟いた。確かにアヴィル様が用事を済ませてくるといってもうすぐ1時間が経とうとしていた…
「何かトラブルでしょうか?」
「俺、ちょっとカイル兄上に聞いてくるよ~」
「わかったわ。よろしくね~」
そういってダリル様が「おとなしくしてろよ~」と去っていった。
――――
「あの、私少しレストルームに行っても良いでしょうか?」
ベリル様が申し訳なさそうに言った。
「ええ。私もご一緒してもよろしいでしょうか?」
私が言うと「はい」と返ってきたのでサナリア様に伝え二人でレストルームに向かった。
バリバリバリッ!!
私とベリル様が会場から出てレストルームに向かう廊下で、急に身体に衝撃があった。
「痛っ…」
ビリビリと身体が痺れる…え?なに…?
私の体はなぜか壁際にあり、ベリル様が私に覆いかぶさるように倒れている…
「ベリル様?ベリル様、大丈夫ですかっ??」
声をかけるが返事がない…私はベリル様の体を動かして固まってしまった…
一体何がおこってるの?
アヴィル様が贈ってくれたドレスが赤く染まっていた――――
そして、ベリル様のドレスも…
「っ!【キュアシールド】!」
私はすぐにベリル様を魔法で包み込んだ。
とりえずこれでベリル様にはもう何もできないはず…少しずつだが回復はできるはずだ。
「…忌々しい…なぜ生きているの?」
ぼそぼそ、と恨みがましい声がした。
「貴女は…」
黒い髪に紫水晶の瞳…その瞳は暗く…濁っているように見えた
「死ねばいいのよ…伯爵令嬢ごときが私の邪魔をして…【ライジングスピア】!」
「リシア様!?」
リシア様は狂ったように雷の槍をベリル様に向けて何度も放った…。
「あははははは…!!私は!こんな女に負けてなんていない!私を拒絶したことを後悔させてやるわ!!」
この方は一体なにをいっているの?私には彼女の言っていることが理解できなかった…
「なぜっ!?なぜ当たらないの!!」
何度撃っても私の【キュアシールド】を破壊できない苛立ちからか、今度は標的を私に替えてきた…
「ふ、ふふふふふふふ…貴女はアヴィル殿下の婚約者よね…?」
私は身構えた…
「お前の精霊のせいで!殿下のせいで私は王妃になれなかったっ!!!」
私の精霊のせい?おう…ひ?
「あの方は…イカール王子は…っ」
イカール王子…あぁ、3年前の…
「私を不幸にした者たちなんて消えてしまえばいいのよー!!!!!!!」
私が魔法を発動できるのはひとつだけ、ベリル様にかけている【キュアシールド】を解除すればリシア様はまたベリル様を標的とするだろう…どうしたら…
「お前も死ね――――!!」
『はぁ?させるわけないでしょ。ふざけてんの?』
ヒーロー参上!




