歓迎パーティー3
「ね~レイン?」
「なんでしょう?サナリア様」
「レインはさぁ~アヴィルお兄様のどこがすきなの~?」
ぐっ!
口に入れたフルーツタルトがっ…絶えろ私っ…
ハンカチで口を押さえどうにかふきださずにすんだ…
「こほっ…ええと…?」
「レイン嬢。果実水どうぞ?」
ダリル様がすかさず飲み物をくれた。
「んん~、あれだよ3年前の隣国の国交のときの話~。レインがお兄様のとこ好きになってなかったら、お兄様って結構危険だったんでしょ?」
あぁ…あの時はレックスとアヴィル様がくたくただったわね。
「そう、みたいですね。私は実際に目にしていないので詳しくはわかりませんが…」
「そうそう!レインの精霊様がお兄様に力を貸してくれて、イカール王子をたおしたんでしょ~」
サナリア様…倒したわけではないと思いますが…
「こら!サナリア。声大きい。」
周りを見ると、こちらをみている人が何人かいた。
「やばっ…これって内緒のはなしだったっけ?」
「父上にいわれてただろう?極秘だよ!」
サナリア様とダリル様がこそこそ話し出した…
そうだよね…隣国の王子が王位継承権を無くしたのがアヴィル様を狙って~とか…
色々よろしくないよね。
「そうですね…どこが好き、と言われても。最初の時アヴィル様、レックスと寸劇をはじめるんですよ?」
「寸劇!?お兄様が??」
「そうですよ。意味がわかりませんでした。私そっちのけで二人だけで盛り上がって…」
ふふふ…と思い出し笑ってしまった。
「アヴィルお兄様が一番弟子だったのね…」
なぜか、サナリア様ががっかりしてしまった。
え…なんで?別にアヴィル様はレックスの弟子ではない…と思うけど。
「あ~、サナリアのことは気にしないでいいよ」
「あ、はい。」
そんな話をしながらアヴィル様を待っていたんだけど…
「あ、サナリア様、ダリル様、レイン」
「ご機嫌よう、お兄様、ベリル様も」
「御機嫌よう。サナリア様、ダリル様、レイン様」
「ご機嫌よう、レオン様、ベリル」
「やぁ、レオン、ベリル嬢」
「アヴィルはいっしょじゃないの?」
「お兄様なら生徒会の用事で少しはずしておりますわ」
私の代わりにサナリア様が答えた。
「そうか…」
お兄様は少し残念そうな顔をした。
「アヴィル様になにか用事があったのですか?」
お兄様に問うと少し考えるように周囲を見て首を横に振った。
「いいや、アヴィルがレインのそばを離れるのってちょっと珍しいなと思っただけだよ」
なるほど…たしかにアヴィル様はエスコートしてるときはあまり私から離れない…。でも今回は貴族のパーティーとかではなく学園のパーティーだし、アヴィル様は生徒会長だしなぁ…
「まぁいいや、サナリア様、ダリル様申し訳ないのですが、少しベリルと一緒にいてもらえませんか?」
「いいですよ」
「もちろんさ」
「レオン様…」
あれ?ベリル様が少し不安そうな顔になった。
「大丈夫よ、ベリル。レオン様、すぐもどられるのでしょう?」
サナリア様が心配ないというようにベリル様に声をかける。
「ええ、もちろんです。ベリル、すぐに戻るから心配しないで?ダリル様がいい男でも浮気してはいけないよ?」
お、お兄様なんて事をさらっと言うのですか?!あ、ベリル様が余計涙目になってしまったわ…
「浮気だなんて!そんな…」
「ひどいなぁ~レオン。女の子いじめちゃだめなんだぞ?」
よしよし、とダリル様がベリル様の頭を撫でた…ダリル様…それは婚約者の前ではしてはいけませんよ…
「ダリル様は無意識にちょっかいだすんだよなぁ…」
と、お兄様がつぶやいた。「はうぅ…」と、ベリル様はサナリア様の後ろに逃げていた。
「まぁ、早めにかえってくるね。」
そういってお兄様は去っていった。




