私、怒ってますよ?
「レックス…」
『なに?レイン』
なに?じゃないと思うのよ…私。あれかしら?お見合いの席で当人そっちのけで周りだけ盛り上がってる感じ…
「アヴィル様と遊んで楽しいかしら?」
私はにっこり、レックスに話しかける。
『あ…』
しまったって顔してももう遅いよ?私、少し怒ってるのよ?今日はすごく緊張して、不安だったのに…
「アヴィル様も…本日は私との顔見せのはずでしたのに…」
私は少し不貞腐れ顔をし、アヴィル様を見つめた。
「あ、いや…何というか。」
レックスとアヴィル様は顔を見合わせて…
『「ごめんなさい!」』
私に頭を下げた。
「もう、頭をあげてください。」
「ぶはっ…す、すまないね、レイン嬢」
王様…笑いすぎて涙目ですよ…。
「いいえ。レックスが悪ふざけしたのが原因ですから…」
『てへっ☆』
てへっ☆じゃないわよ。もう、怒ってるのがバカらしいじゃない。
「はぁ、困った守護精霊様ですわ。もういいわ、おかげで緊張が解けました」
『あはは。でも、アヴィル王子がノッてくれるとは思わなかったしさ〜?ノリいいね?すごく好ましいよ!』
「いや〜。弟妹たちとよくこんな感じで遊んでたことがありまして…つい」
アヴィル様はそう言って少し頰を赤らめた。そういえば、兄弟仲いいんだったなぁ…おおぅ、照れた顔可愛い…
「ふふふ。仲がよろしいのですね」
クスクスっと笑う私をアヴィル様がびっくりしたように見ていた。
「あの、なにか?」
不敬な態度を取ってしまっただろうか?不安になり訊ねてみた…
「い、いいえ!レイン嬢…あの、あなたさえ良ければ…私の婚約者になって頂けないだろうか?」
「「えっ?」」
私とお父様の声がハモった…
「レオンからも貴女の事を聞いたりしていたのだが、やはり会ってみて私の側にいて欲しいと思ってしまった…その、笑顔を…私に守らせてくれないだろうか?」
私はカァーっと顔が熱くなる。
え、笑顔?守るって…そんなこと言われたら、惚れてまう〜!!前世でもそんなこと言われたことないわっ。
よ、良く考えてレイン!!自分の一生の事よ!アヴィル様の事はまだ出会って少しだけど悪い感じはないわ…むしろ好印象よ…でも、出会ってまだ一時間も経ってないのに婚約者だなんて…いや、でも…
「困らせてしまったね…」
「あ、いえ。アヴィル様を嫌と言うわけではないのですが、出会ってまだ…」
もごもご…
「そうだね、急過ぎたね。そうだ、後日二人で出かけないかい?そして、私の事を知ってもらいたい」
「は、はい…」
「ヴェルナーグ公、レックス殿いいだろうか?」
『お〜、いいとも〜♪』
レックス軽い!!
「ええ、殿下。よろしくお願いします」
こうして、3日後アヴィル様と出かけることになった…




