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天才錬金術師の最強ギルド創設記  作者: 蘭丸
雪の国フーリオール編
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第72話 会合

 エミリアやフラウたちと合流したオレは、ドワーフたちの洞窟のさらに下の階層に降り、そこにある部屋で会合をすることになった。


 酔っぱらったドワーフの頭との会合は、それなりに和やかに進められた。やはり酒の力は素晴らしいものだ。


「シビル、農業への移行には、ドワーフからも人数をだそう。まずは若い優秀な奴らに農業への理解を深めさせ、様子を見る」

「本当ですか、ロウウェン様!?」

「……勘違いするな、農業の難しさと厳しさを確認して、お前の考えが簡単に行くものではないと教えるためだ!」

「ありがとうございます!」

 シビルは深々とロウウェンへ頭を下げる。

 まったく、おっさんのツンデレは見ていられないな。


「シビルちゃん、そんなにかしこまらなくても、昔みたいにおじさんおばさんと言ってほしいわ」

「いえ、私は……」

 もう既に会合の目的は果たしたような雰囲気だ。自然に雑談に移行している。


「御主人様、どうやってドワーフたちを心変わりさせたのですか?」

「ふっ、オレは実は『錬金術』以外の魔法を使えるのだ。『説得』という名の魔法をな」

「ちょっと何を言っているのかわかりません……」

「……このオレの頭脳こそが真の武器という事だ」

 とにかく、会合は落ち着くべきところに収まった気がするな。他国の人間の魔法を借りるより自国の者たちが協力した方が良いに決まっている。


「フリードさん、ありがとう! まさかここまでしてくれるなんて……」

「1の依頼に10で返す。それが天才たる所以だな」

 フラウは嬉しそうにオレに話しかけてくる。依頼も解決し、オレたちの役目は終了だな。あとは観光でもして、ゆっくりハレミアへ帰るとしよう。


「出てこい、雑魚どもっ!」

 突然、会合場所の外から怒鳴り声が聞こえてくる。


「誰かが呼んでるぞ。残念ながらオレは雑魚じゃないから対応が難しいな。誰か対応よろしく」

 ろくなことでないのは間違いないので、引きこもることにした。


「この声は……」

 シビルは声の主に思い当たる節があるのか、扉を開き外に出ていく。


「御主人様、馬鹿なこと言っていないで私たちも出ますよ!」

「……酔っているのでお手柔らかに頼む」

 メイドにお叱りを受け、仕方なく重い腰を上げるとオレたちも外に出ることにした。


*


「おうおう、雑魚どもがずらずらと出てきやがった」

 部屋の外に出ると、軍人たちがこちらに銃を構え、会合部屋を取り囲んでいた。

 先頭に立つ男は、この国に来たばかりの時にすれ違った男だ。


「あいつ、この前の!」

 ロゼリカとステラはオレの後ろに隠れ、顔だけを出して男を睨みつける。

 何のために部屋から出てきたんだ、まったく。素直に隠れておきなさい。


「これは何の真似だ、エルヴァン!」

 シビルが声を荒げる。軍隊のリーダーらしき男はエルヴァンというらしい。


「ふん、採掘ギルドと通商ギルドが結託して国家転覆を狙っているという情報が入ってな。そこにいるハレミアの雑魚どもがその証拠だ! 大方、他国の軍事力を後ろ盾にクーデターを起こそうってことだろうが!」

「……根も葉もない話だ!」


「前々から軍事ギルドへの予算も削減してたよなぁ! 軍事力を削ったのもこのためだろ、状況証拠は挙がってんだよ! 所詮はドワーフとハーフども、国への忠誠心も疑問だなあ?」

「貴様……!」

 フーリオールの主要ギルドのリーダーたちがバチバチと言い争っている。オレたちは完全に蚊帳の外だ。


「御主人様、どうしますか!?」

「うーむ、オレたちの存在も原因の一つのようだし、手を出すか」

 オレたちは当然国家転覆を狙っていないので、エルヴァンが騙されているか、適当な理由をでっちあげて権力を手にしようとしているかのどちらかだろう。どちらにせよ軍隊を制圧するべきだろうな。


「おいおい、雑魚どもだけで話をするんじゃない。オレも混ぜてもらおうか」

「……フリード様、間違いなく雑魚呼ばわりされたことに怒ってますわね」


「フリード殿、悪いが引っ込んでいてもらえないか」

「そうはいかないな。オレたちも疑われているのだからな」

「おい、ここで暴れると外交問題に発展するぞ」

「安心しろ、もう既に外交問題だ」

 シビルとうさ耳少女を論破し黙らせると、オレは軍隊の前に出ていく。


「はっ、こいつらを捕らえて、口を割らせてやれば話が早えな。……皆の者、ハレミアからの侵入者をハチの巣にしてやれ!」

 エルヴァンは標的をオレに定めたようだ。右手を上げると銃を構えていた兵士たちが一斉に銃口をオレに向ける。

 口を割るとか言ってたが、一般人は普通に死ぬだろ、これは。


「御主人様!」

「オレは大丈夫だ。流れ弾に当たると危険だ、部屋の中に隠れていろ」

 エミリアたちは部屋の中に隠れる。ギルドマスターとしての責任だろうか、シビルとロウウェンだけは部屋の外に残った。


「撃てっ!」

 エルヴァンが右手を下ろすと、破裂音が鳴り響きオレに銃弾の雨が降り注ぐ。


「フリード殿っ!」

「はっ、あっけねえな」

「その通りだな、あっけない攻撃だ」

「……!?」

 オレは当然のごとく無傷だ。銃の欠点、それはこの天才を殺せないこと。鉛玉など通用しないのだ。

 体に吸収された鉛玉を、口の中に再度生み出してバラバラと吐き出す。何故口から出したかというと、その方が格好いいからだ。


「ああ、服が穴だらけに! ……体に触れるまでは操れないから仕方がないな」

「へっ、お前が噂の錬金術師だったか。金属の武器が効かないなら、オレが戦うしかねえな」

 オレの魔法は噂になっていたようだ、天才の名が知れ渡るのは無理もない。

 だが、魔法を知っても戦うという事は、オレに通用する魔法という事だ、警戒しなければな。


「フリード殿、その男は実力だけで軍事ギルドのリーダーになった男だ。油断するな」

「食らいなぁ!」

 エルヴァンは(こぶし)大のピンク色の玉を生み出し、発射してきた。

 どんな攻撃か不明だが、ひとまず鉄の壁を目の前に作り出す。だが、相手の魔法はやや上向きに飛んでいき、オレたちの頭上、洞窟の天井に命中した。玉はそのまま天井に張り付いている


「……? 狙いを外したか?」

「フリード殿、危ない!」

 シビルが叫ぶ。すると、球が爆発し、全周囲に円錐型の太いトゲが発射された。もともと拳大の玉だったはずなのに、発射されたトゲは腕ぐらいの太さだ。


「うおおっ!」

 オレは鉄の壁を上側にも展開するが、反応が一瞬遅れたため壁を分厚くできず、いくつかのトゲが貫通しオレの腕を傷つけた。

 どうやらかなり破壊力と貫通力があるようだ。魔法で作られたトゲは材質不明だが、金属製ではないようでオレの魔法では操れない。


「どうだ、オレの魔法の威力は!?」

「フリード殿、その男の『チクチクバンバン』は物体に貼り付き、周囲に槍を発射する爆弾のような魔法だ! 単純だが威力と攻撃範囲は驚異的だ、気をつけろ!」

 シビルが魔法の説明をする。くそ、危険な魔法にふざけた名前を付けやがって。


「どんどん行くぜ!」

 男はピンクの玉をこちらに複数投げてくると、オレの鉄の壁や洞窟内の天井などに張り付く。ここでは狭すぎて相手の魔法がかなり有利だ。

 こちらも鉄の鎖を放つが、敵の魔法を防ぐために周囲に鉄の壁を生み出していると、目隠し状態で攻撃しているに等しい為に上手く命中しない。


 そうしているうちにも相手の魔法が破裂していき、鉄の壁を打ち付ける。今度は壁を分厚くして耐えるが、防戦一方でこちらから有効打を返すことができていない。

 十分対策できそうな魔法だが、まずは思考する時間が欲しい所だ。


「フリードさん、僕も手伝うよ!」

「フラウ!? おい、危険だ、下がっていろ!」

 エミリアたちと一緒に部屋に隠れていたはずのフラウが、大砲のような筒を持って再び出てきた。ロウウェンが心配し声を荒げる。


「いつの間に『フラウランチャー』を用意したんだ? そんなもの、さっきは持ってなかった気がするが」

「これは他のドワーフたちとこっそり作っていた『フラウランチャー MKⅡ』さ! このドワーフの洞窟に隠してたんだ!」

 ……Ⅰもまだ使っているのを見てないのにⅡが出てしまったか。


「ハーフのガキがオレに勝てると思っているのか!」

「勝てるよ、これは貴方対策に作ったものだからね!」

 こうなることを予想していたのだろうか。まあこの男の感じだと前から怪しかったのだろう。


 たしかⅠはナパーム弾を発射するとか言っていたが。

 オレは鉄の壁で敵の魔法を警戒しつつも、一旦フラウの武器に任せることにした。


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