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天才錬金術師の最強ギルド創設記  作者: 蘭丸
お嬢様護衛編
12/198

第11話 野盗の襲撃

 王都を出て1時間は経っただろうか。窓の外には広々とした平野が広がっている。

 ルイーズはこちらに背を向け、ベッドの上で丸くなっている。完全に怒らせてしまったようだ。


「それにしても、護衛の仕事は初めてですね。何もなければ良いのですが……」

 エミリアは空気を変えようとしてか、話しかけてくる。


「心配しなくても、どうせ何も起こらないさ」

「……本当でしょうか」


「この馬車にはでかでかと貴族の紋章が描かれている。王都の近郊で襲うなど、貴族たちへの宣戦布告に等しいからな。すぐに莫大な賞金を懸けられて優秀な魔法使いがわんさか来るぞ。相当な頭の持ち主でもない限り、わざわざ襲ってこないだろう」

「な、成程!」

 オレの理論的な話に納得したようだ。


「簡単な仕事で終わる。この天才を信じろ」

 その時突然、ガタンッと音を立てて馬車が傾いた。


「うおっ!?」

「きゃぁ!?」

 馬車はそのままガタガタと振動しながら減速し、やがて止まってしまう。


「ご、御主人様、大丈夫ですか!?」

 オレは衝撃でベッドから投げ出されたルイーズを咄嗟に庇おうとし、そのまま押しつぶされていた。


「あっ、申し訳ありませんわ!」

ルイーズは慌てて飛びのく。


「大丈夫だ。……しかし、いったい何が起きた? 車輪でも外れたか?」

 オレはゆっくりと体を起こしながら考えを巡らす。すると、外から声が聞こえてきた。


「オラオラ! 出てきやがれっ!」

 ……嫌な予感がするな。オレ達は体が見えないようにしながら、窓から目だけを覗かせ外の様子を伺う。

 そこには、50人ほどの屈強な男が立っていた。


「御主人様、もしかして、馬車強盗では!?」

「……少なくともオレのファンではなさそうだな」

「ちょっと、話が違いますわよ!」


「二人は隠れていろ。ちょっと出てくる」

「えっ!? ……御主人様、大丈夫ですか?」

「心配はいらない。この天才にかかればすぐに終わる」


*


 オレは馬車から降りると、周囲を見渡し状況を確認する。

 御者は、いつの間にかいなくなっていた。オレたちを置いて逃げ出したのか? ……無責任な。

 馬車は予想通り、車輪が外れていた。少し後ろには、外れた車輪と斧が転がっている。どうやら意図的に引き起こされたようだ。


 そして、目の前には野郎ども。男たちは半裸に肩当て、そして全員モヒカンだった。手には剣や斧、こん棒など、思い思いの武器を持っている。


「……なんだ、お前らは?」

 知りたくもないが、一応聞いておく。


「オレたちはこの辺りを縄張りにしてる盗賊、『モヒカンズ』だぁ!」

 ……ギャグみたいな名前を名乗られてしまった。


「オレたちはルイーズってのに用があんだよぉ! 素直に差し出せば、てめぇの命だけは助けてやってもいいぜぇ〜?」

 ゲヒャゲヒャと下卑た笑いが起こる。どうやら狙いはルイーズらしいが、当然差し出す気はない。


「オレがルイーズだが?」

「何ぃ、てめぇが!? 情報だと、女だと聞いたぜぇ!?」

 モヒカン共は騒ぎだしている。


「ちょっと、何勝手に名前を騙っていますの! ルイーズは私ですわ!」

 馬車の窓から顔を覗かせ、堂々宣言する。庇ってやったというのに、なぜ姿をばらしてしまうのか。


「てめぇ、オレたちを騙しやがったなぁ!?」

「……騙される方がおかしいだろう」

「もう許さねぇ。てめぇら、かかれぇ!」


 理不尽な怒りを爆発させたモヒカン共が、うぉぉぉと怒声を上げてこちらへ向かってくる。


 ……やれやれ、闘いは避けられないな。


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