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自然散策部ではなく異世界調査部だったりします  作者: 雪だるま弐式


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第77回活動報告:お休みの終わり

お休みの終わり



活動報告者:宇野空響 覚得之高校二年生 自然散策部 部長



「はい。おかえりなさい」


そういって、不帰の森の中にポツンとある家で出迎えてくれたのは、我らが覚得之高校の先生であり、自然散策部の顧問で、異世界管理局の人で僕たちの上司だ。


「ただいまー」

「はい。ただいま戻りました」

「今日は、全員そろってです」


僕がそういうと、ツーチたちが違う感じの返事をする。


「今日もよろしくお願いいたします!!」

「頑張ります!! ランニングですか!!」

「荷物はどれを持てばいいんでしょうか?」


ああ、ちゃんと訓練をしていたと確認できる言葉だ。

だが、今日は訓練をするために来たわけではない。


「残念だけど、今日は訓練はなしね。みんなから詳しい話を聞くから、さ、家の中でゆっくり話しましょう」


そういうことで、家の中に入って、リビングでお茶が出てくるまでくつろぐ。

最初はツーチたちや僕たちが淹れようとしたのだけれど、先生がやると言われたので、お任せしている。


「なんか、6人そろってこの家にいるのは違和感があるよねー」

「ああ、普段は一人一人だしね。僕たちの場合は」

「ツーチたちも3人で訓練するだけだからね。どうだい? 家でゆっくりすることはあったかい?」


僕がそう聞くと、3人はブルンブルンと首を横に振る。


「私たちは家に入ることは滅多にありませんでした」

「あれ? そうなの?」

「あはは、私たちは、ここに来たらずっと訓練だから」

「はい。お家にこうして入った記憶はありません。ツーチさんが、たまに報告でドアを叩いただけで……」


なるほど。

まあ、確かに、訓練するだけだからね。家に入る用事はないか。

食事もお風呂もリーフロングの家で済ませてたしね。

と、そんなことを話していると、先生がお茶を僕たちに前においてくれた。


「さて、まずは、お茶を飲みながら、宇野空さんから話し合った結果を聞きましょうか」

「はい。話し合った結果、ツーチたちはパン屋になるつもりはなく、このまま僕たちのサポートをしていくということになりました」

「ふむふむ。パン屋の方はどうするの?」

「それは、商業ギルド長のゼイルさんに……」


とりあえず、今日の報告も含めて起こったことを話していく。



「なるほど。冒険者ギルドの仕事は終わり、今後、パン屋の経営は信頼のおけるゼイルギルド長に任せて、ツーチたちは本格的に訓練をということですね。それで、彼女たちをどうするのかってことですね?」

「はい。まあ、色々無理を言っているのは理解していますし、実力不足から不帰の森においておくわけにはいかないですから、しばらくはパン屋の手伝いをしつつ、僕たちがこっちに来られるときに、訓練をという形になると思うんですが」


僕たちについてくると覚悟は決めていたが、流石にこの不帰の森においておくと死ぬのは目にみえているから、パン屋の手伝い、指導とかをしつつ、冒険者としての仕事をさせるのが一番かなーと僕は思っている。

スィリナたちやサラたちも協力してくれるって言っているし。

僕の言っていることは先生も理解してくれているようで、頷いてくれる。


「まあ、そうですね。まだ、この不帰の森で3人で訓練というのはまだ早いでしょう。そこは同意です。ですがもう一つ提案がありますよ?」

「もう一つ?」


あれ、何か他に方法があったかな?


「私が見るに、この3人。ツーチたちの決意は固いと思います。裏切ったり、逃げ出したりするようには見えませんので、向こうに連れて行くという方法があると思います」

「「「向こう!?」」」

「「「向こう?」」」


僕たち3人とツーチたち3人の反応が違って何か妙におかしかったが、問題はそこではない。

向こう。すなわち、地球の日本に連れて行くと先生は言っているのだ。


「で、ですが、今の彼女たちを連れて行っても、誰が面倒をみるのですか?」

「というか、どう見ても外人だし、ビザとかどうするんですか? 不法入国ですよね?」

「あー、その手があったか」


僕と勇也君は驚いていたが、越郁君は特に驚くことなく納得していた。

そして、驚いている僕たちをよそに越郁君が話を続ける。


「あれでしょう? 現地雇用制度ってやつ」

「ええ。それを適応できます。もちろん、外人なのは私のように変装してもらいますし、戸籍関係は異世界管理局に申請すれば何とかなります。教育に関しては、人材が足りませんし、普段は家で過ごしてもらい、家の中で慣らしていくしかありませんね」

「そんなに簡単に申請が通るんですか? 試験とか面談とかは?」

「それは試験や面談をするのは私ですから、ツーチたちなら特に問題ありませんね」

「えーと、そんなのでいいんですか?」

「そんなのというか、こういう申請は異世界の数の数倍存在しますからね。一々指定の場所で面接となると、その分人手や資金を消費しますから。宇野空さんたちを現地採用しているのですから、同じようなものですね」

「「ああ」」


その返答に素直に納得してしまった。

確かに、僕たちのような学生をそのまま異世界調査員にしているぐらいだ。

その異世界から連れてきた人の試験や面接をわざわざするわけがないか。


「問題があるとすれば、ツーチさんたちがこちらに……来る気まんまんですね。聞くまでもありませんでした。となると、向こうの家を用意するのに時間がかかることですね」

「先生の家に泊めるんじゃないんですか?」

「それをやるわけにはいかないんですよ。私はあくまでも独身の教員で、マンション住まいですからね。マンションって言うのは、思いのほか人の目がありますし、マンションというのは基本的に住む人数を大家さんに申告しておく必要があるんですよ。賃貸ですからね。そういところはしっかりしないと、トラブルの元ですから」


はー、なにかと一人暮らしも大変なんだ。

というか、これも先生の言う通りか。独身と言っている先生の所にツーチたちが出入りするのは、マンションの人から見ると変に見えるだろう。

下手をすると特定の生徒を贔屓しているなどと変な噂が流れるかもしれない。

それはまずい。色々情報操作はできるだろうが、そんなことが起こると分かってするわけがない。


「となると、どこかで一軒家ということですか?」

「そうなりますね。まあ、そこまで時間はかかりません。申請すれば、近場の空き家を買い取って、ちゃんとそれなりの手直しをしてから、そこにということになりますね。ついでに3人も住むんですから、私のマンションに来られると手狭になりますので、それは遠慮したいですね」


そっか。そっちの問題もあるか。

一軒家を買わないと、狭い所で生活することになるのか

確かに、一軒家は必要だ。


「え、えーと、私たちは床で寝ても問題ありませんが?」

「うん。私たちは奴隷だし、我儘は……」

「大丈夫ですよ?」

「ええ。奴隷であり、宇野空さんたちの為に強くなろうと思っている3人には大したことはないかもしれませんが、私たちの住んでいる場所ではそのようなことをすれば、頭がおかしいと言われるどころか、法律違反となるのでダメです。あちらとこちらでは常識が違うので」


確かに、先生がベッドで3人はいつも雑魚寝の布団無しとかだと、虐待とかを疑われる。


「そういうこともありますので、……そうですねー。しばらくは、パン屋を経営して待機ですね。訓練の方も一時中止です。まあ、自主訓練は忘れないように。私も宇野空さんたちと、向こうに戻ってツーチさんたちを迎える準備がありますから」

「はあ、マンナ様たちがそういうのであれば……」


ツーチたちは首を傾げつつも、納得するけど、常識の違いを教えるのに苦労しそうだなーと思うのであった。

そして、僕たちにとっては、ここに戻ってきたことは……。


「さて、ツーチさんたちのことはいいとして、のこるは宇野空さんたちですね」

「「「え?」」」

「「「はい?」」」


またしても、ツーチたちと僕たちが同時に疑問の声を上げる。


「何を不思議がっているんですか。今回の異世界調査は、宇野空さんたちが異世界調査員になるための、実地研修と試験を兼ねているのを忘れたんですか?」

「「「ああ」」」

「「「?」」」


ツーチたちには後から説明するとして、僕たちは聞かなければいけないことがある。


「せんせー!! 私たちの試験はどうなんですか!?」

「合格でしょうか?」

「結果はいつ頃でるんでしょうか?」


僕たちは慌てて結果を聞く。

それも当然。

これは、僕たちが異世界調査員になれたのか?という大事な話だからだ。


「そうですね。まず問題はないと思いますが、とりあえず日本支部の方に私からの報告書を送って、あとは待つだけになりますね。大体一日二日後ぐらいには結果がわかるかと」

「今すぐはわからないのかー」

「まあ、流石に本採用になるんだから、当然だとおもうよ」

「そうですね」

「じゃ、ツーチさんたちをリーフロングの家に送った後に戻りましょうか。えーと、今の時間は大体13時ちょっとですね。ある意味ちょうどいい時間ですね」


そう言われて、一瞬なんのことだか分からなかったが、徐々に頭にその言葉の意味が浸透してくる。

つまり、僕たちは……。


「ちょっとお昼を過ぎていますが、部活動がちょっと長引いたって感じでいいと思います。登校の準備もありますし、向こうに戻ってゆっくりできるのはいいですよね」


GW終盤の日本へと戻るわけだ。


「ちょ、ちょっとタンマ!! やり忘れたことがあったんで、1日だけ待ってもらえますか!!」


そして、その答えにたどり着いた越郁君はとっさにそんなことをいう。


「ええ。1日ぐらいなら何も問題ありませんよ。14時に戻るだけですから。それに、ツーチさんたちに待機している間のことを詳しく決めてくると良いでしょう。では、私はその間に、宇野空さんたちの正規雇用の書類を作っておきますね。えーと、明日の朝には戻ってきてくださいね」

「はーい!! じゃ、行こう行こう!!」



そんな感じで僕たちは越郁君の勢いに圧されてリーフロングに戻ってきたのだが……。


「休みがおわるー!? いーやーだー!!」


戻ってくるなり、家の床を転がる越郁君がいた。


「あ、あの、コイク様?」

「ど、どうしたんだ!?」

「ユーヤ様!! コイク様がおかしいです!?」


3人はそんな越郁君を見て慌てるが……。


「ほっといていいよ。これは一種の病気みたいなものだから、自然と収まるから」

「ですね。具体的にはあと48時間切ってるか。二日後の今頃は、学校だろうからなー」

「のーーー!? そんな現実なんてやって来ないー!!」


そんな越郁君は放置して、ツーチたちに向こうの準備が終わるまでの説明をしたあと、関係各所にも同じような説明をして、僕たちの仮免異世界調査員の日々は終わりを告げた。


さて、僕たちのこれからはどうなることやら?




一旦これで「自然散策部ではなく異世界調査部だったりします」第一部完とします。

理由は仕事が忙しくなったので定期更新が難しくなったからです。

まあ、ぼちぼち更新はしていくと思いますのでよろしくお願いします。


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